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IN DREAM2

第10章 生命の源



「闇族に攻撃を仕掛けた多くの種族が魔族化し、この森をうろついてますぜ、姉御!」
「あの天族の斥候隊も行方不明になって、噂では堕天使になっちまったとか。」

「ダメよ!
まだ逸れた仲間が近くにいるはず。
必ず見つけ、全員で故郷に帰るのよ!」

不安気に話す部下達
魔族を倒したことで浴びた返り血は黒く
その両手は汚れている
それでも仲間を探すことを強行するメリッサ

数人の仲間達を連れ、森の中を駆け巡っていく





「うわぁぁぉぁぁ!」
「?!」


北の方角から聞こえた声はメリッサが探し求めていた仲間のもの

「近い・・あんた達、付いて来なさい!」
「はい!」



声が発せられた方角へ息をきらし、走っていく
戦い、傷つき、逃げる
その繰り返しを丸一日していた肉体は限界であり
既に水に久しく触れていないため、鱗が乾きかけている

仲間の捜索など諦め、水族の領地へすぐ戻ればいい
だがそうしなかったのは、教え子達を島で亡くし
住処の島を失い、一族の敗退という悲報をきいていたからだ

ーーーーこれ以上無くしたくはないーーーー
その想いが、フィオレの心にある基盤となる感情であり
それ以外のことは考えないようにしていた

そして森の奥で座り込む1人の男を見つける


「見つけた!」
「!」

フィオレと逸れた仲間の一人であり
悲鳴をあげた者だ
男はフィオレが駆け寄ってくる光景をとらえると
震える足を無理矢理起こし、手を伸ばして止めようと走り出す

「フィ、フィオレさん!
来ちゃだめだ!」
「?!」
「こいつらにっーーーー」

男が走り出そうとした瞬間
光の鎖が背後から伸び、頭から足まで隙間なく巻きつけ
声を発することもできず
指一本動くことを禁じられる

「な?!」

繭のように白く巻きつけられた鎖
そのまま後方に引きずり込まれていく

「っ、クソッ!」

仲間が何者かに襲われた
いや、襲われている中、フィオレを助けるために
危険を承知で敵に背中を見せたのだ

敵の正体は不明
光の鎖など見たことがない
ここで命を落とす可能性だってある
それでも救うべき命だ

迷わず駆け寄るフィオレが見た光景は
かつてないほど、残酷なものだった




「・・・な・・なんだ・・お前達は?!」



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