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IN DREAM2

第10章 生命の源




駆け寄る少女の姿を見つめ、アランだけが武器をとることなく
無抵抗のまま立っていた

イリヤ、ヒルト、クライヴは武器を構え、直ぐにでも攻撃を加えることができる
だがアランに止められた以上、無視して行動できない
3人は少女の姿を見つめながら警戒する

「アランちゃん、おっきくなったね!」

「メリッサ・・
どうしてここに?
貴方は暗黒戦争で死んだはずじゃーーー」
「うん、死んだよ
けど、フィオレさんに現世へ呼び戻されちゃった」
「は?」

目を丸くし、メリッサの言葉の理解が追いつかないアラン

「どういうこと?
死者の魂を呼び戻すなんて、人間にはできないはずよ」
「アランちゃん、知ってるはずだよね
あの人はもう、人じゃないの。
暗黒戦争で天族によって魔族にさせられたんだよ」
「天族に?!」
「ーーーアランちゃんがこの島を沈めてから
フィオレさん達は土族が管轄する大陸へ行き、戦火から逃げてたけど
あれはアランちゃんが姿を消してからかな・・・」

目の奥を濁らせながら、メリッサは過去の話をしようとしていた

アランとメリッサは会話が成り立つ
だが、ヒルト、クライヴ、イリヤはまったく聞き取れない言葉だった

「クライヴ、俺の目と耳がおかしいのかな
アランが話してるアレ・・俺には皮膚が溶けた人魚の骸骨にしか見えないんだ」
「イリヤにもそう見えるよ」
「残念だが、俺も同じだ
だとすれば、アランだけに別の姿に見えているのだろう
メリッサと呼んでいたところから察するに、過去にこの島で命を落とした友人だろう」

屍臭が漂い、蝿が舞う骸骨
闇の瘴気までが漏れているにも関わらず
正気を持って自立しながら動くメリッサの亡骸
声帯すらないはずだが、どこからか聞こえる唸る少女の声は
魂を絞って必死に訴える死者の声そのものだった

「アランが沈めたはずの島があり、死んだはずの水族が
アランだけに過去の姿で見え、会話ができる
明らかに敵の罠だと思う」
「そうだろうな、ヒルト
だがユリエフがどこに囚われているかわからない状況で
下手な動きはできない
敵の狙いも明確になっていない以上、今は大人しくしておくのが得策だろう」



「ねぇメリッサ・・その天族のせいでってどういう意味?」
「・・ここで話してもいいけど、あの人達にも教えてあげたほうがいいよね?
先からずっとあたしを睨んでるけど。」




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