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IN DREAM2

第10章 生命の源




ーーーーーさざ波の音が心地よく聞こえる

先の襲撃が夢のような感覚になった


「っ・・」

ユリエフは閉められた首から頭部にかけて痛みが走り
思わず手で抑え視界を凝らす

「お目覚めかな、天族さん」

海賊船長としての帽子を被り、葉巻を口から咥え
静かに話しかけて来たのは
人の姿をしたフィオレだった

「・・・ここはどこですか?
私をどうするつもりです」

「水中の中締め上げられながら移動したことで
ここがどこかわからないかい」
「えぇ」

口から煙を吹き、ユリエフの顔に濁った煙が当たる
「ケホッケホッ!」
副流煙を直接吸う事で咳き込むユリエフは
フィオレから距離を置くために立ち上がろうとする


ーーーガクンッ

「え」

思うように動かない体
足元を見ると黒く濁った鎖と鉄の塊の重石がつけられ
ユリエフは立ち上がることができない状態でいた

「大人しく話を聞きなさいよ、天族
アンタを連れてきたのは、静かな場所で話すため。」
「話?
一体なんのお話をされるのでしょうか」
「人の世の、汚れた真実さ」

ユリエフの髪を鷲掴みし
フィオレは目の前にまで近づかせ
赤く光る瞳をユリエフに向けた

「っーーーー?!」

「アランちゃんの過去は話したが
あたしの過去は知らないだろ?
あんたみたいな聖人君主が集結させた暗黒戦争で
肉体だけが汚れたんじゃないことを、教えてあげるよ」


フィオレが話し終えた後、ユリエフの意識は瞬時に吸い込まれ
抜け殻のように力を無くした体はその場に倒れた

「ーーーー聖人は生まれつき心に闇を持たないというけど
それが汚れた真実を見ても言い切れるのか、試してみようじゃないか」

倒れたユリエフの体に足を置きながら
フィオレは近くにあった岩に腰掛け、体を足蹴にする

周囲には森林が囲み、鳥の囀りと
さざ波しか聞こえない孤島の中
ユリエフは知ることになる

世界を歪めていたのは闇だけではないということをーーーーー。



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