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IN DREAM2

第10章 生命の源




腰につけていたサーベルを取り出し、フィオレは天へかざした
「荒ぶる海の覇者、クラーケンよ。
我に力を与え、邪魔者を排除しろ」

「?!」

海が切り裂かれるような音がユリエフの背後から聞こえた

「ユリエフ!」

船に乗っていたライセイが真っ先に飛び出し
ユリエフへ向かって手を出して走ってきている
ジェイクとイリヤはユリエフの背後から伸びる触手に指を指し
口を大きく開けて驚いていた

大きな雫がユリエフの頭を伝って頬を流れる
粘膜が強いその雫は水ではなく、生き物の液体とすぐにわかったユリエフは振り返り、その正体を見つめた

何百とある尖った歯が円形になった口に沿って並び
8本ある触手は無数の吸盤が張り巡らされ
20メートル程ある巨体に埋められた狂気の瞳は、しっかりとユリエフを見つめていた

「これは・・・」

「締め上げろ、クラーケン」
クラーケンの触手はフィオレの命令に忠実に従い
目にも止まらぬ速さでユリエフの体を縛り、拘束した

「うぐっ」
「ユリエフ!
クソッ!てめぇ、魔族だったのか!」

「そんな事も気づかないとは、インドリームも間抜けが多いな。
お前達、相手してやりな!」

クラーケンの頭部に軽やかに乗るフィオレは、武器を構えるライセイにむけて
瞳を赤く光らせながら、見下しながら話した

「オオオッ!」

クラーケンの次にフィオレの命令を従ったのは
船員全員だった
剣や銃を手に取り、まっすぐにライセイ、イリヤ、ジェイクへ向かって走り出す

一人一人が異形の姿へ変わって行き
やがて耳を尖らせた魔族へと成り果てる

鋭い牙から垂れる涎は船に落ちると穴が空き、猛毒性を秘めた体液を宿していることがわかった

「全員、魔族だったってことかよ!」
「ど、どうするのライセイ?!」
「ジェイク、イリヤ!
今は闘うしかなぇぞ!」
「で、でもこの人達はアランちゃんの」
「うるせぇ!
今はそんな事言ってられねぇだろ!」

「流石は龍族ね
法や道を外した者には容赦ないわ。
けど、この天族の女はもらうわよ」

首を絞め上げ、息苦しそうにもがくユリエフ
その様子を見たライセイは舌打ちをしながら、フィオレへ槍を投げようと雷を纏わせていく

パンッ!
「っ?!」
銃声がなった直後、ライセイは足の力を失い、その場に倒れる
一人の魔族が持つ銃から煙が出る事で
何が起きたかすぐにわかった
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