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IN DREAM2

第10章 生命の源




「アラン・・」

うつむきながら口を固く閉ざすアラン
心配そうにのぞき込むように声をかけるヒルト

「―――わかってるわよ」

拳を握り、歯ぎしりしながら小声で呟くアラン

「真実はいつも残酷だってことくらい、わかってるわ」
「・・・」
『ならば、その目で確かめる決意はあるということだな』

「ええ、全てを受け止めてみせるわ
あたしがインドリームとして存在している以上、この力で真実をてらし血で染まった命でも救って見せる。」

『よくぞ言った。
ならば、我々が語るのはここまでだ
後は――――』
「私が引き継ごう」

女の声はかき消され、周囲に浮かんでいた水の絵は壁画に戻り、族長であるダミアンは瞳を開き、右手から小さな宝箱を生み出した

片手で収まっていた宝箱はアランが触れると蓋が開き
真珠のネックレスが浮かび上がる

「これが水龍の瞳と呼ばれている宝石じゃよ
この真珠を身に着けることで、フィオレ達が行こうとしている島の入口も開ける。
アラン、君がこれを持っておくのじゃ」
「・・わかったわ」
「たとえフィオレが昔と変わらない姿であっても、惑わされてはならぬぞ」
「それはどういう意味?」
「言葉通りじゃ。
見かけではなく、心を見極める必要がある
暗黒戦争後、見た目は人魚の姿で現れてもその心も手も血で染まっていたことを、我々でも見抜けた
インドリームであるお主がそれを見抜けなければ、この先は進めないと思うのじゃ」

間違ったことなど、一言も発してなかった
確かにフィオレは人になったことで水族としての志は失くし、人魚を生け捕りしようとしていた
その瞬間をこの目で見て、飛行船から飛び降りたくらいだ
そしてフィオレ自身からも、一族に見捨てられたことに怒りを覚え、人として命を奪うことを厭わないよう生きるしかないと言っていた
そこまでわかっておきながら、アランはまだ心の中で否定していのだ
自分が知っているフィオレはそんな事をしない、と――――。

「・・あたしには、フィオレさんの事をどうこういう資格はないわよね、族長ダミアンさん」
「・・・」


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