第10章 生命の源

『フィオレ・バリシアを含める多くの同族は暗黒戦争で命を奪い
その手は血で汚れていた
我々水族は命を重んじる種族
その志から外れた者達を領域に入れる事で、同族内で争いが発生する可能性がある
海王と族長は協議の末、血で汚れた同族は一人たりとも入れないことへ結論建てた
例え地上に残し続けることで、人になり、水族として二度と生きることができないとしても。
この領域に入れることができるのは、血で汚れていない同族か、命を奪うのではなく、闇を払うことを使命とするインドリームだけだ』

水の絵は新に描いたのはアランとヒルトの姿だった

『この塔に来たことでまた、水族の歴史に残る出来事となった
だからこそ、君たちの求める宝石の在処と、その真実を教えよう』
「！」
「フィオレさんが求めていた水龍の瞳のことね？」

『我々にとっては一つの宝石として価値のある物であるが
あの宝石を手にするだけでは、何もならんことを知っているからだ』

「・・それ、どういうこと？」


アランは疑う気持ちで満たされた
これから話される真実が、認めれる内容とは思えなかったからだ
暗黒戦争前と、その後の歴史を語る中、嘘偽りは何一つない
だからこそ、自分が信じていた事と真実が異なった時、どうすればいいのか答えがでてこない


『水龍の瞳という宝石は、なんの魔力もこもってないただの宝石
それを捧げるだけで水族として再び生きれるなど、できるはずがない』

だがフィオレは確かに言ったのだ
とある島で水龍の瞳を捧げるか、人魚の血を捧げる事で呪いは解放されると

『正真正銘、あの宝石は何の力もなく、島にはかつての呪われた同族が封印されているだけだ
フィオレがどのような嘘を吹き込まれたかはわからないが
水族が人になってしまった以上、戻すことは不可能。
それでも尚、宝石をもって島へ足を踏み入れるというなら――――
これを持っていくがよい』


うつむくアランの前に出された宝石
青白く輝く小さな宝石は水龍の瞳と呼ばれるものであり
フィオレが求めていた秘宝だった

「・・・・」

『どうした。
その目で確かめはしないのか、アラン・フォースタス』

「・・・・。」