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IN DREAM2

第10章 生命の源




ダミアンが呪文を唱え終えると
周囲に描かれていた人や人魚、怪物の絵は全て光ながら生きているように動き出した


『生命を重んじる水族は、世界中のどの種族よりも平和だった――――』

どこからか聞こえる女性の声はダミアンから発せられているように聞こえた
だが、ダミアンの口は固く閉ざされ、直接話しているようではない
ヒルトは誰が話しているか状況が理解できない中
隣に立っていたアランが懐かし気は表情をしている
まるで子供の頃に聞いた親しみあるものであり、心の奥にしまっていた記憶が呼び出されたような感覚の表情
「あたし・・この声を知っている」
「アラン?」


『多くの種族が存在する世界の中、自然のエレメンツを持つ種族は多く分けて十種類――――
調和を重んじる光の一族
混沌を愛する闇の一族
戦を愛する火の一族
自由を愛する風の一族
土地を管理する土の一族
世界の法を巡視する龍の一族
生命の起源となる水の一族
静寂を守る氷の一族
自然に身を委ねる草木の一族
科学を基礎とする鋼鉄の一族
全ての種族がそれぞれ重んじるものがあり、互いの領域を侵さない事で世界は平和に包まれていた
そして水族もまた、水の中で生活を中心に行い、地上に出ることは貿易のみであり、他種族に危害を加えることもなく、その逆もなかった』

各種族の国旗と紋章が水の絵によって描かれ、人々が行き来する様子も絵が動くことで鮮明に再現された

『だが暗黒戦争がはじまり、水族は侵略者の闇族を迎え撃たなければいけなかった
生命を重んじる水族は、例え相手が敵であっても殺すことを正と認めず、不殺の攻防を続けた
闇族の力によって、同族が魔族に堕とされ、かつての仲間に牙をむいたとしても殺すなどできない
風族、土族、と連合を組んだ事で何かしら援軍がくるのでは―――
そう希望を抱き、抵抗を続けるも海水は闇で汚染され、黒く染まり、有機物は全て腐敗していった』

声と共に水で描かれた人魚達は朽ちてゆき、輝く命は闇の中へ消えていく様子を再現する

『我々水族は傷ついてでも不殺を貫いた一族を連れ、深海奥まで撤退。
闇族でも手が届かない場所へ結界をはり、扉を固く閉ざし、敗戦を認めた
そして暗黒戦争終結後、散り散りになった多くの同族が深海へ訪れ、住まいと共にすることを渇望した』

絵の中で多くの人魚達と一緒にフィオレの姿があった



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