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IN DREAM2

第10章 生命の源




ダミアンは巨体をゆっくり動かし、髭を触りながらアランの顔を覗くように話した

アランは輝く真珠のような白い瞳を見つめながら
答えに困る
記憶がない相手には懐かしさもなく、どれほど世話になったかもわからないからだ
そして更に、ダミアンの瞳は肉眼ではなく
真珠そのものだったからだ

「一族との再会は嬉しいけどあたし・・・あなたとの記憶がないくて・・」
「うむ、わかっておる
だからこそ、今日は私が知る限りの全てを教えよう
ここに来たのも、フィオレ達と会ったからだろう?」
「!」
「私についてきなさい
静かな場所で話がしたい」



ダミアンはアランとヒルトを連れ、奥に建てられた巻貝型の塔へ進んでいく
黄金色に輝く貝の先端には光を宿した真珠が埋め込まれている
日の光が届かない深海であるにも関わらず
真珠が輝くのは内側から放たれる魔力のおかげだろう
緑黄色の鱗を身に着ける海兵の人魚達は屈強な肉体と
膨れ上がった胸筋にはには金色のヒオウギ貝の鎧を身に着け、ダミアンが通ると頭を下げ、持っていた槍の武器を下ろした

「ここは確か・・族長だけが入れる翆玲の塔?」
「いかにも。
全ての記録を残している場所でもある
お主たちにこれから話す内容の整合性を高めるためには、この塔に行くのが一番じゃろう」


赤紫色の扉を開け、塔の中へ入るとすぐに下から泡が吹き荒れ、水流の流れが塔の先まで勢いよく上げられていた
ダミアンに続き、アラン、ヒルトは水流に乗ると体は風に乗ったように勢いよく浮き、鰭を動かすことなく、瞬時に塔の最上階へたどり着く
「すごい・・今のは・・」
「ホッホッホ
風族の君には初めて体験するものだろうな
水族の間ではごく普通に使用している移動手段であり、水の性質を利用したものじゃよ」

塔の最上階の中心には白く輝く真珠の水晶が浮いていた
周囲には水族特有の古代文字が浮かび、アランはその文字を指でなぞっていた

壁は全て貝殻で造られ、その中に小さな絵が描かれている
ヒルトは絵の内容が水族の歴史であり、暗黒戦争での記録も描かれていることに気づく

「今から私が話すのは、水族の歴史と、今にいたるまでの経緯じゃな
この塔に記録された内容は全て事実であり、生命の根源たる水が守護神アプサラス様へ捧げた記録でもある。」

ダミアンは水晶に触れ、自身の魔力を注ぎ、呪文を唱えていく


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