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IN DREAM2

第10章 生命の源




「!」

その光景は目視で捕え、確かに槍が揺らいだのだ
投げ槍として方向がぶれたのではない
槍の先が掠れて揺れ動き、その後方で矛先をこちらへ向けている剣も揺らいだ
そして深海近くであるが日の光がわずかにあたる方角

「―――そうか・・・!」

ヒルトは構えていた大剣を手放し、無抵抗のまま数多の槍を生身で受け止めた

「なに?!」

周囲にいた海兵はヒルトの行動に驚きを隠せず
身動きを止めた

ヒルトに迫って飛ばされた槍は一本も当たることなく
体を透けて消えていく
「これは水と光を使った屈折術、幻影だよな」
「・・・。」
ヒルトはわずかにゆらめく槍と剣の減少が何だったのか理解したのだ
飛ばされた武器は本物ではなく、水族が作り出した幻影であり
風で防ぐことは必要ないということを――――。

「あの瞬間、俺は風の力を使っていれば水族の海兵のうち、一人は傷を負う。
そうなれば生命を重んじる水族を尊重しない、偽者のインドリームとみられていた・・
逆に俺が弱気になり、この場から少しでも逃げていても、インドリームとは見てくれない」
「―――――」
「インドリームであるなら、命を重んじ、無駄な争いは起こさない。
そしてどんな脅威にも勇敢に進み、己の力で道を切り開いていくべき・・・そう考えた水族は俺を試したんですよね」

ヒルトは余裕の笑みを浮かべ、海兵の群れの中心にいた兵士長の人魚を見つめて話した


黒く長い髪を一つで束ね、前髪はオールバックにし、緑色の鱗と剣を両手に持つその男は
少し鼻で笑い、一人、拍手した

「さすがだ、インドリーム
君の言う通りだ」
「これで証明できたかな?」
「うむ、よかろう
私は確かにお前の正体を確認した
我が名はタキシード・ベルセルク、水族第一海兵隊長だ
君の名を改めて聞こうか」

「ヒルト・クローズ
風を司るインドリームであり、リーダーだ」

「よし、ではまずアランを返そう」

タキシードは指を鳴らすと隣で泡が吹き出し
アランの姿が突如現れた

「―――あれ?
あたし、一体どうして・・?」
「アラン、大丈夫か?!」
「え、ヒルト?
あたしさっき、どこかに流されてそれから―――」

「安心しろ、アラン
先は風のインドリームの正体が本物か確認するため、一時的に別の場所へ閉じ込めていただけだ」
「!
あなたは・・水族第一海兵隊長のタキシードさん?!」
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