• テキストサイズ

IN DREAM2

第10章 生命の源





メーヴィ島を守っていた結界は破られ
周囲の海は黒く染まり、生き物は壊死し、水面に浮かぶ死体を魔族化した元人魚や海兵が貪り食い、島に残った生命達にとどめをさそうと隙を狙っていた


「はぁ・・はぁ・・!
メリッサー!」

息を荒く上げながら、アランは慣れない地上を必死で走りながら
一人の少女を探す

「どこなの・・返事して!」

緑豊かな森林は跡形もなく燃えてゆき、灰と炭が煙になって舞い上がりアランの全身を汚していく
「っ!」
風が吹くたびに感じる熱風は水族のアランにとって地獄のようであり
すぐにでも海へ戻り、炎が届かない水域へ逃げたかった
だがそうできないのは、失うわけにはいかない多くの命がまだ島に残されていたからだ

そして走り続ける中、アランはフィオレが活動拠点として使用していた
簡易なテントにたどり着き、その木の柱の横に立っている少女の影が目についた

「!
メリッサ!?」

希望に近い声でその少女の方へ呼びかける
だが、少女は声を発することなく、アランへ顔を向けることはない

「メリッサ・・?
どうしたの?
そこは危険だからこっちに――――」
最後まで話すことができず、地に頭を押さえつけられたアラン
直ぐに力を加える者の方へ視線を向けるとそこには
火傷を負ったフィオレがいた
「しっ!」
「!?」
「メリッサは救えない・・もう手遅れよ
ここで声を出せば、貴方も魔族にされるわ」
「どういうこと・・・」

アランは再びメリッサの影の方へ視線を移すと
立っていた体が不自然に曲がっているのに気づく
その肩と腹部と足に槍が貫通しており、力のない頭の額には大きな穴が空けられていた
「え?」
目を疑った
だが、見えているものに何一つ誤りはなく
燃えるテントの中、すでにメリッサは殺されていたということに気付く
その死体のすぐ近くには魔族化した異形の影が控えており
鋭い爪をメリッサの頭へ近づけていこうとしている
「な・・にを?」
「っ!
見てはダメよ、アランちゃん!」
急いでアランの目を隠すフィオレ
だが視界が隠れ須寸前に鮮明に見えたのは
メリッサの脳や臓物を爪で穿り返し、裂けた口の中に放り込んでいく魔族の姿だった

「あ、あぁぁ・・いやっ・・」
アランの周辺に漂う闇は負の感情に呼応し、フィオレとアランを闇に堕とそうと迫る
「くっ!
アランちゃん、しっかりするのよ!」

/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp