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IN DREAM2

第10章 生命の源




「アランちゃん
言いたいことはわかっているわ」
「――――」
思い詰まった表情のアランに、フィオレは強く言いとめた
「水族の考えや方針に納得がいかないのは貴方だけじゃない
それに、あなたの命を重んじるその心を、歪んだ感情で汚してはダメよ」
「フィオレさん」
「あたしはね、貴方ならこの不安定な世界を変えられると信じてるのよ
水の力は生命エネルギーとなるように、純粋な想いは夢の実現へとなる」
「?」
「貴女の見て感じたことよ
そして子供であるアランちゃんの心はとても綺麗だわ
いつか闇がこの島や水族を襲っても、心や夢を汚さないでね」

思いつめたフィオレの表情は、アランにとって見慣れず
戸惑いながら、それでも頷き、夢を諦めないと誓う


「さぁ、メリッサと合流して休憩しておいで
あたしは故郷へ戻り、一度報告を済ませないといけないのよ」

フィオレはアランを見送り、海の中へ姿を消していった
八本の触手のような足を下半身から生やし、赤い鱗を体に包んだ状態で一気に海底へ進んでいく

この時、メーヴィ島は水族の結界で守られ、周囲から容易に侵略されることはなかった

だからこそ、暗黒戦争勃発後、メーヴィ島にいた水族達はすぐに対応できなかった
気付いたときには闇族の侵略はすぐそこまで来ており
水族の主力部隊の力が弱まっていくと、次第に結界の効力は失われた―――――――




アスタニア紀680年

闇族の宣戦布告が行われ、世界中を蹂躙していく中
闇の手がメーヴィ島に届くまで、わずか1年もなかった

闇族は禁忌の召喚術で呼び寄せた霊獣達に呪いを植え付け
無理矢理服従させ、使役し、水族の結界や水域を汚染し、虐殺していった

水の特性上、汚染には影響しやすく、また魔族という種類の異業者を作りだすことに成功したのは
水族を実験にした結果でもあった

暗黒戦争前から闇族は水族を捕縛し、どうすれば心と肉体を闇に堕とし、闇の神が使役することができる存在へ造り替えれるか実験を繰り返していた
その結果、浸食性の強い禁忌の闇を放出することで肉体に染み付き、憎しみや絶望という心から生み出される負の感情に呼応し、内側から闇が暴走する仕組みを造り上げた

そして、水族はその体に闇が一定の規定量以上に触れることで魔族になるのは容易であり、負の感情などなくとも突然闇が暴走し、異形の姿へ変えていく――――

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