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IN DREAM2

第10章 生命の源



「あのさ、メリッサ
アタシ、生きた人間をわざわざ食べようとは思わないのよね
死んで海に落ちてきている方がまだいけるかな」

「なに言ってるのよ、アランちゃん!
人魚の産卵時期には死体じゃなくて、生きた人間の方が栄養価が高くていいんだよ?
同じ人魚なんだから、いつかは産卵して、子供沢山作って、水族の繁栄に貢献しようよ」
「あー・・うん」

活気よく話すメリッサに、アランは目線をそらせながら
気まずそうに目線を空へ向ける
そこには風と一体になって、先まで歌声を聞いていた風族達が嫌悪な表情をこちらをむけている気がしたからだ

「はーい、そこまでよ
アラン、メリッサ」
「!」
「フィオレさんー!」

島の森林の中から姿を現したのは、人の姿であるが体の所々に藍い鱗を浮かせながら長い髪を三つ編みで束ねるフィオレ

メリッサは寝転がっていた体勢を変え、己に化身の術かけ、人の姿に変え、小さな足を動させながらフィオレに抱き着いた

「ねぇフィオレ、あたし、アランちゃんに歌を教えてたのよ!
でも、アランちゃん上手だから教える事ほとんどなくし、もう一人で狩りはできると思うの!」
「そうなのね、メリッサ、あたしの代わりに教えてくれてありがとう
貴方はいい子ね」
「えへへ」
フィオレに頭を撫でられながら嬉しそうに照れるメリッサ
「メリッサ、仲間たちも仕事を終えて休憩しているところだし、皆にもこの事教えてあげて」
「うん、わかったわ!
アランちゃん、先に行ってるねー!」

森林の中へ走っていき、メリッサの姿が見えなくなってから
アランは軽いため息をつき、人魚の姿から人の姿へ変わり、海から出て二足歩行でフィオレに近づいてくる

「何度も言ってると思うけど、あたしは歌が歌えたとしても、生きた人を食べるために使わないわよ」
「わかっているわ。
けど、貴方を立派な人魚にすると約束したのよ
貴方のお父さんとお母さんにね」
「だからって・・・
いや、こんなの親のエゴだわ
あたし達を置いて勝手に他国との貿易に出向いた両親の思い通りに、あたしが成る必要はないわよね」
「アランちゃん・・」
「この島周辺は平和だけど、不穏な動きを見せる闇族と対抗するために出兵したメリッサの両親も自分勝手よね
子供をなんだと思っているのよ
数を増やせばいいなんて古臭い考えしてるわけじゃないだろうけど、それでもあたしは――――」
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