• テキストサイズ

IN DREAM2

第10章 生命の源




打ち付ける波の音は心地よく、種族関係なく、誰もが日々の疲れをいやす場所にその島はなっていた

メーヴィ島

それは人魚の島と意味する孤島であり、緑豊かな森林と翡翠色の海が広がっていた
海底には薄紅色のサンゴ礁と浮かぶ船はまるで空を飛んでいるかのように影が海底に映り、水はどこまでも透き通っていた

白い砂浜をにはほら貝を拭きながら遊ぶ二人の人魚がいる
一人の少女は紺色の長髪を透明な海藻の髪留めで一つに束ね
青緑色の鱗で満たされた下半身で海水をはねながら
水色の愛らしい瞳で隣にいるもう一人の人魚にほら貝を拭き、美しい音色を奏でる

「ほら、アランも歌って」
「えー・・恥ずかしいわよ、メリッサ」
「大丈夫よ、私がリードしてあげるから!」

メリッサは砂浜で寝転がる青い髪の人魚の名を呼び、ほら貝で音楽を奏で、誰もが魅了する歌声をアランと共に発した


その歌声は風に乗り、世界を見回っていた風族や
遠く離れた船乗りの耳にまで入り、多くの者がその声の主を確認するため進路をメーヴィ島へ変更した

人魚である水族は他種族と積極的に交友はしない
そしてメーヴィ島は水族が他種族と貿易をする上で拠点としていた特別ば場所であるが、決められた日時以外に他種族が踏み入れることは許されていなかった
確約された平和な場所では、水族が頻繁に海から顔を出し、日の光を浴びたり、遊び場になっている

どれほど魅了される歌声に導かれたとしても、貿易以外で無断で立ち寄ることが許されないメーヴィ島に、風族は肉体的な体を透明化し、風と擬態して魔力を消費してまでアランとメリッサの歌を聞きに来ていた

そして何のエレメンツを持たない人間種の漁主達でさえ、危険を冒して船を島の領域の境目まで近づけ、歌声を聞いてる


水族である人魚が歌を練習するのは、単純に餌を捕まえる時のためだ
主に肉食の人魚は魚の肉や人肉を口にする
基本的に生きた人間を襲うことはないが、空腹時や食料危機時、栄養価が高い食事を必要とする場合は、歌声を使って人間を魅了させ船から引きずり下ろす

そんな事を知らない人間たちは毎年、歌声が聞こえる度に島へ近づこうとしていたのだ


「アランちゃんの声で人間たちが近づいてきてるね
これでいざというときは一緒に狩りができるよ」

笑顔で話すメリッサに、アランは少々困惑しながら歌声を小さくし、言葉を返した


/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp