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IN DREAM2

第10章 生命の源



一人の少女を除いては――――。

「はいはーい、クライヴ君、そこまでー!」

クライヴの頭を横から手刀打ちし、頬を膨らませながら不満気に割り込んできたのは体調が回復したイリヤだった

「この人たちはアランちゃんの知り合いなんだから、そんな敵意むき出しにするのは失礼だよぉ」
「・・・はぁ。」

呆れた表情でイリヤを見つめ、クライヴは失意のため息をつくが謝罪しようとはしなかった

「え、どうしてため息?!
イリヤそんなに悪い事した?
あ、ちょっと!」

クライヴは身を軽く動かし、船の柱や縄をつたって飛び、飛行船へ戻っていった

「あ、ごめんなさい」
クライヴの代わりにイリヤがフィオレに謝罪する
だがフィオレは何も気にすることなく、笑いながら片手を振り
「気にしなくていいよ」
そう明るく答えた
「わりぃな、船長さん
クライヴは俺たちにも冷たくあたるときがあるからさ。
どうしようもない性格なんだ」
イリヤの謝罪にライセイがフォローするように話す

「どうしようもない性格の仲間を連れる大変さは、あたしだってわかっているさ
水族ではなく、人になってからこいつらを連れてずっと海を旅してきたけど・・リーダーとして想いを団結させ、一つの夢に向かうことは難しいわ」

「志を共にしない方々もいらっしゃったのですね」

「勿論よ、ユリエフちゃん
人になる為に道を踏み外した者もいれば、我が身を案じるためにあたし達を裏切った奴もいたし、魔族の餌食になり、命を堕とした者もいるわ」
「・・・。」
「暗黒戦争が始まる前、あたし達のように地上に残されたまま故郷へ帰れなかった水族は何百人といたわ
今じゃあ、この船に乗る船員と各地に散らばった数人程度だけ。
あの戦争さえなければ、あたし達は平和に暮らせてたってのにね
どうしてこうなってしまったかなー」

葉巻を右手でつまみ、口から煙を吹きながら
フィオレは青く澄み渡る空を見上げていた


「あの・・アランさんが昔フィオレさん達と過ごした後の事を聞いてもいいですか?」
「ん、あぁ、そうね。
あの子との出会いからも教えてあげたほうがいいかもしれないか
あの様子じゃあ、自分の正体だころか過去の話なんてまったくしてないようだし。」
「はい」

「あの子と出会った日、今でも鮮明に覚えているわ。
潮風が吹く中、とある島の砂浜で人魚達と遊んでいたあの光景を―――」

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