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IN DREAM2

第10章 生命の源




「てめぇ、何馬鹿にしてやがるんだ」

高らかに笑うフィオレに、ライセイはイラつきを隠せず
舌打ちをしながら歩き、フィオレに近づこうとした瞬間
ヒルトは先に腕を広げ、ライセイを抑制する

「馬鹿にされてんだぞ、ヒルト!」
「それでも構わない。
俺は、この人達を助けたいんだ」

「ヒルト、気持ちはわかるけど
それはあたしの役目よ。
なんて言ったて、探している秘宝は深海にあるんですもの
風族のあんたに海は潜れないでしょ?
だからーーー」

「いい薬があるのよ、アランちゃん」

言い合う3人の中、フィオレは小さな貝のネックレスを取り出し、ヒルトの目の前でハッキリと見せた

「これはアタシ達が人間になってから作り上げたオリジナル装置でね
短期間だけなら水族の海人として姿を変えることができるものよ
これを付ければ、例え風族でも海底だろうとどこでもいけるじゃない?」

青白く輝く真珠を中心に守るように法螺貝が巻きつき
鋼のチェーンでつくられたネックレスからは
確かに水族だけが感じ取れる特殊な魔力が流れており
アランにはそのネックレスの効果が本物であることがわかった

「そんな物、どうやって作ったの?
魔力の量から察するにかなりのものよね」
「それは教えられないね
あたし達の努力の結晶とでも言っておこうかしら」
「ーーーー。」

「フィオレさん、俺がそのネックレスを使って呪いを解いて
人魚を狩るなんてしなくてすむなら、喜んでするよ」

揺るがない決意の目をして話すヒルトに
フィオレは呆気に取られるが、すぐに笑みを浮かべ、手を叩き
ネックレスをヒルトへ投げて渡す

「決まりだね。
あたし達はあんた達が無事に帰るまで、水族に傷をつけることはしないようにして待っておくとするよ
気をつけるんだよ」
「・・わかったわ」

ネックレスを首からかけたヒルトは
足元から水が突然溢れ出し、全身を包んでいく
「!」
水に浸かることで息をしやすくするため、風を使おうとするが
アランがその手を止め、何もする必要はないと人差し指を左右に振るだけでそれを伝えた

水が全てを覆った後、すぐに海の中に落とされるような
全身を水に打ち付けられるような感覚が伝わった
目を開けた時、既にヒルトは海賊船から身を投げ出され
海の中に人魚の姿として姿を変えていた
青く透き通る魚の下半身に、背ビレは棘のある強いものだった
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