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IN DREAM2

第10章 生命の源




フィオレは自らの袖をおり、ヒルトへ見せつけ、触れるように目の前に差し出した
恐る恐る触れたその皮膚は、水族特有の鱗の肌触りではなく
人の柔らかい肉がついている
間違いなく水族ではない肉体であるか
首元につけている刺青が何よりも水族であったことの証拠であろう

「あたしはね、こうなる事が知った時は既に手遅れで
多くのものを失ったと感じたさ。
そして何故こうなる事を教えず、深海に潜っていったのか
一族を恨み続け今にいたる・・
この人間の肉体となってしまった以上、人と同じ生活をしなければいけないからね。」

「だから当てつけみたいに人魚を襲い、市場で売りさばこうとしてたってわけ?」
「当てつけじゃないわ、アランちゃん
あたし達は元に戻るために行動しているのよ
こんな体になっても、とある遺跡に隠された宝の中にあった古代記録書には
水族としてもう一度生きれる方法が2つ、書かれていた。」

フィオレは船員に指だけで指示を出し、近くに立っていた男は
船の貨物部屋から1つの巻物を取り出した
巻物をナイフで柱へ打ち付け、1つの島を指す

「この島にある祭壇には水族の秘宝の1つ、水龍の瞳と呼ばれる宝石を捧げることでこの呪いを解くことができる。
または、水族である人魚の血をこの祭壇に捧げ、更に生きた人魚を
生贄と捧げるか、どちらかよ。」

「ーーー人魚を生贄ですって?
・・本気で言ってるの?」

「本気よ。
でなきゃさっきみたいに仲間の死体を餌にして
人魚を捕縛しようなんて思わないわ」


強く拳を握りながら、アランは黙っていられなかった
かつて暗黒戦争で両親を亡くしたアランを
フィオレとその仲間達が懸命になって育て、守ってくれたことをーーー。
あの温かみのある笑顔や、清らかな心はどこにもなかった

「フィオレさん、その水龍の瞳と呼ばれる宝石はどこに?」
「ヒルト?」

「・・なんだい、ヒルト君
アンタ宝なんてのに興味あるタチかい?」
「宝に興味があるわけじゃない
俺はただ、大切な仲間の一族が殺し合いなんてしてほしくないだけだ
呪いを解くためとはいえ、誰かの命を犠牲にして叶えられる夢なんてあっちゃいけないだろ」

ヒルトの冷静な発言に、全員が黙り込み、沈黙が流れる
「クッ・・アッハハハ!
素晴らしいわ
インドリームのリーダーは優等生ってわけね
あのアランちゃんが心を開くのもわかるわ」
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