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IN DREAM2

第10章 生命の源




飛行船を海面に浮上させ、インドリーム全員が海賊船へ乗り移る

潮風や海水に触れたことで錆びかけている大砲
木材で主に作られた船は、風に揺られながらきしむ音をたてている

飛行船とは違った感覚で立つ感覚に慣れず
イリヤは口を手で抑え、顔色を悪くしていた

「イリヤ、また船酔いか?」
「うっ、うん・・ごめんね、ライセイ」
「ったく、俺は別にいいけど
後でユリエフに治してもらわなきゃな」

「だったら、このハーブ茶でも飲みな」

淡い緑色の茶葉を浮かせ、女船長が渡したのは
海賊が愛用する薬でもあるお茶だった
主に船酔いや暴飲暴食後に飲むと効果があると言われている
栽培している場所は限られているからこそ、効果であり
少量の販売でも破格の値段がつく高級品を
女船長はまだ出会って名乗りもしていないインドリームへ渡す

人魚を捕獲していた時とは真逆の表情ーーー
優しさに包まれたそれは、インドリーム全員の警戒を解くには十分な対応だった


「ーーーさて、自己紹介といこうか
あたしの名はフィオレ・バリシア
この船の船長であり、元、水族の戦士でね・・
乗組員達もみんな同じだ。
アランの育ての親でもあるのよ」

「・・インドリームのリーダー、ヒルト・クローズです」
ヒルトは己と仲間の紹介を順に済ませていく後、アランだけが黙ったまま何も話そうとしない事に違和感を感じつつも
先にフィオレの元、水族という言い方について気掛かりだった


「フィオレさん、どうして元、といったのですか?」
「フッ、気楽に話なさいよ、ヒルト君
あたしに敬語なんていらないから。」
「あ、はい」

フィオレは胸ポケットにいれていた葉巻を盛り出し、火を起こして静かに一服した

口から吐き出される煙を見つめつつ
その目は遠い過去を眺めていた


「ーーー暗黒戦争。
この戦争で水族がどんな状況だったか、インドリームであるなら知ってるわよね?」
「・・はい。
闇族からの侵略を防ぐために、風、土、その他眷属達と結託し、迎撃をされたはずです。
水族は海底に住まう者達が大半であるため、地上に出る事は殆どなく、海上戦で主に対応されていましたね」


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