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IN DREAM2

第10章 生命の源




女船長を守るように周囲の海賊達が囲み、剣を抜き取りアランへ睨むように立つ

「ーーー行け。」

アランは武器をつかむ事なく、人差し指を人魚が捕まっている方へ向けて静かに呟いた
その瞬間、細い水の線が真っ直ぐに伸び、人魚を拘束していた縄を切り落としていく
「生命の源である海へ運びたまえ。」
力なく横たわる人魚の体を糸の水が包み、水のカプセルに入った人魚はそのまま海へ戻されて行った

「船長!」
「今なら追えます、俺達が行ってーーー」

海賊達は口々に発したのは人魚の追跡の許可だった

「それは必要ない。」
「え、船長⁈」
「目の前の存在をよくみな、あんた達。」

女船長が視線を送る先に見るのはアランだった
そして剣を抜き取り、ゆっくり近づいていく

距離が近くたびにアランの中では緊張が走って行った

怒りに任せて船に乗り込み、人魚を逃がすことは出来たが
今、海賊と戦うことは非常にマズイことだ

アランの夢は命の平等を掲げ、偏った見方で命の奪い合いはしないというもの。
その夢に呼応し、インドリームとして覚醒しているが
同族を襲った海賊と戦い、傷つけることは夢の矛盾となる
それは結果的にインドリームとして力を発揮できない事にも繋がり
逆に捕縛される可能性がある

「・・・」

緊張感が強まり、心臓の鼓動音が耳の奥まで響いている

僅かに震える手を握り、双剣を取り出そうとした途端
先に武器を下ろし、戦う気がないことを現したのは女船長だった

右手に持っていたサーベルを船に突き付け、
両手をいっぱいに広げてアランをすぐに抱き寄せた

「え?!」
「ーーーーこんな姿になれば、私の事もわからないだろうね
けど・・・
これを見れば思い出すかな、アラン?」

抱き寄せていた力を弱め、女船長は長い髪をかきあげ
首元にある刺青をアランへ見せた

青色のドクロとその下から蛸の足が絡まる刺青であり
間違いなく水族だけが持てるものだった
そして双剣を持つ人魚の刺青を腰に入れていたアランは
淡い記憶が蘇る

かつてこの刺青が何を意味し、どんな役割を果たしているか教えてくれた恩人ーーー
暗黒戦争で行方不明になった両親の代わりに、アランを育ててくれた存在

「フィオレさん・・・なの?」

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