第3章 半魔
「ええ、稀に生まれるでしょ?
人と魔族の間に生まれた子供よ」
「確かに、そういった形で生まれる方がいるのは知っています。
ですが、そうなっていると発覚した場合、天族特有の基地へ送られるはずですが・・」
「基地?」
ユリエフの話にヒルトは疑問になった
「ええ、暗黒戦争以来、天族は闇に落ちる危険性が高い半魔や闇堕ちなどを、特有の基地で生活させ、精神と魔力のコントロールの訓練をさせています。
それは国際約に基づき、全種族が同意している取り組みです。」
「そんな事をしてたのか・・」
「旅をしていても半魔や闇堕ちとすぐに出会わないのはそういう事です」
「そうよ、だから私たちは隠れて生活していたの。
天族にみつかれば、私と兄は離ればなれに生活をさせられてしまう・・そんなことは嫌。
たった一人の家族なんだから。」
腕を組みながら、こらえきれない孤独を表しながら、エインシエは話し続ける
「そんな時、一人の旅人が私と兄を匿って保護してくれた。
彼の名はマーベル。
天族を崇高しながら各基地を巡回している結界師だった」
「結界師であるのと同時に巡礼者だったのですね、マーベルという方は。」
「ええ、私と兄は生きるすべを教えてもらい、それぞれに課された使命を全うするよ うに誓ったの。」
「その使命っていうのはいったい・・」
ヒルトに疑問に、エリンシエが躊躇なく答えた
「半魔や闇墜ちと人の共存よ」
「!」
「それで結界師として村を・・」
「私は魔族の捕縛を。
兄はマーベルと共に送られてきた魔族たちを正常に戻すよう頑張っているわ。」
「・・・だったら、先のエリンシエの腕の腐食は、結界転送による負荷?」
「うん、強力な術だからね。
体に負担が大きいみたい。
・・でも、覚悟している事だから、いいの。」
「エリンシエさん、貴方の覚悟は認めます。
ですが、その転送術を使い続ければ、貴方は近々命を落としてしまう可能性が大いに高いんですよ。
夢を抱き、使命を果たす事は素晴らしいと感じます。
・・ですが」