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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




「ヒルト君!」

観客席から声を荒げて叫んだのはユリエフだった

闘技場の結界の中では落雷と煙が溢れ、無傷なのはアレックスのみということが目視できる
だがヒルトの姿が無事であるか見えない状況で
不安が募るユリエフ

「ユリエフ、あいつなら問題ない」
「え?」

腕を組みながら冷静に話すクライヴ

「よく見ろ、あいつはすでに対策を練って対応している」
「!」

消えていく煙の中、ヒルトの姿はなく、雷が落ちた場所には黒く焦げた地面しかなかった
ヒルトの姿が見当たらない事でアレックスは表情を変え
剣を構えて身構える
落雷を強力にしているからとしって、インドリームを瞬殺できるほどの魔力でもない
考えられる可能性は全ての落雷は当たっていないということ


「風よ、現せ≪ウィンドウ・モスイネローラ≫」
「!?」

アレックスは背後からヒルトの声がだけが聞こえ
振り向く前に腰に激痛がはしる

「くっ!?」

鈍く骨が折れる音と神経がはちきれる感覚が脳に伝わる

無様に地に這いつくばるように倒れ、顔をあげると
風が集まりながらヒルトが姿を現す

「どう・・いう・・ことだ?!」

ヒルトは無傷の状態で大剣を持っており、アレックスの身体能力低下の術は解除されていた

「・・・アレックスさん、俺は殺す為に戦っているんじゃない
だから、下半身の神経は切らせてもらった」
「!」
アレックスは下半身に痛みすら感じないことに気付き
脚の指一つ動かせないことに焦りを感じながらヒルトを睨む

「僕の体に何をした!
いや、そもそもどうやって無傷でいられた?!」

「風の性質を利用した技だ
肉体や魔力を風と同化させて物質的な攻撃をすべて無効化させ、そしてアレックスさんの腰の神経に風の魔力を打ち込んだことで
脳からの指令をすべて俺の魔力が阻害している状態なんだ」
「な・・」
「つまり、今の状態ではアレックスさんは立つことはできない」
初めてアレックスの表情が絶望に歪んでいく
現状でヒルトの能力を打ち消す方法もなければ、立つこともできない
咆哮を使用した能力もヒルトが風と同化すれば無効化され、無駄に魔力を消費するだけになる
考えれば考えるほど勝機を失っていく気になる

「アレックスさん、ここで戦わず
他の方法でジーナさんを助けることができないか
一緒に考えよう」
「・・・・」
「俺はアレックスさんと」
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