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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




「アレックス!」

「!?」


結界の中で、いるはずのない存在の声が響く
それは観衆の声もなくなるほど、唖然とする出来事だった

「カ、カンス神官?!」
「どうしてあなた様が結界の中に?!」

白い髭を触りながら、嫌悪な表情で立っているカンスに
アレックスとヒルトは寒気を感じながら身構える
武装しているわけでもなく、ルール違反をしたわけでもない
それなのにカンスの表情一つで悍ましい闇の魔力を感じる

嫌悪な表情は一瞬で不気味な笑顔に変わり、指を鳴らす


その瞬間、結界の外で巨大な爆発が観客席から連続で起き上がり
周囲は爆音と悲鳴と炎の海で囲まれていく

「な?!」

混乱しながら逃げ惑う人々にどこからか湧いてきた暴走した魔族達が襲っていく
突然の出来事にアレックスは声が発せられず
虐殺されていく獣族や人間を見ている


「カンス神官、どういうことなんだ?!」
「どういうとは、見ての通りだろう
こんな幼稚な事を続けている必要がないと判断したのじゃ。」
「は?」
怒りに満ちた表情で声を荒げるヒルトに
不気味な笑顔でカンスは話し続けた
「ヒルト・クローズ
お前さんは危険な存在じゃからな、あの方の計画に邪魔になりうる
だから――――」
カンスの話の最中にヒルトは太く巨大なヘビのようなもので全身を強く打ち、吹き飛ばされる
「っ!」
「ここでアレックスに始末してもっらことにしたのじゃ。」

「カンス神官・・?」
「アレックス、この薬を飲んで腰を治しなさい」

倒れているアレックスに近づき、カンスは赤い液体が入った薬瓶を差し出す
それは試合前にも飲ませていた内容と同じだった

「この薬はインドリームの力でも無効化でき、更にお主の感情に合わせて力をくれる」
「で・・ですが・・」

周りで虐殺される光景を背景にカンスの不気味な笑みがアレックスの瞳を埋め尽くす
素直に飲むことができない気持ちと、なぜか逆らえない気持ちが交差し、口元が震える
「・・素直に、飲まんか」
カンスはアレックスの首を片手で締め上げ、年齢からは考えられない力で体を持ち上げていく
「う゛・・がはっ・・」
息がつまる状態でもがき苦しみ、口を開けて必死に抵抗する
その口の中にカンスは液体を流し込み、更に腹部を持っていた杖で殴る

少量の液体を口から垂れ流すが、大半を反射的に飲み込み
ゴクリと音をたてて体内へ流れる
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