第3章 半魔
「!」
「エリンシエさん、お言葉ですが、それは不可能です
天族でもソレは試みましたが、全て失敗に終わりました
闇に染まった者を元に戻すなんて、出来ないのですよ
その為に、インドリームが存在しているのですから。」
ユリエフの不可能という言葉に、拳を握りながら言い返すエリンシエ
「そう・・でも私達は諦めないわ。
完全に人に戻す事ができなくても、せめて魔族と人が共存できる街を作ってみせる」
「エリンシエさん・・」
「インドリームが魔族を浄化する事で平和を築ける存在なら、私達人間は浄化以外方法で平和を築くの」
「そっか」
エリンシエの決意に満ちた言葉に、ヒルトは手を差し伸べ、優しく答えた
「エリンシエの夢、素敵だと思うぜ!
俺も手伝わせてくれ」
「ヒルトさん」
「インドリームとして旅をしてきて、エリンシエみたいな人は初めてみたよ
俺で良ければ、インドリームとしてとかじゃなくて、友達として力になりたい!」
「友達・・?
私なんかと本当にいいの?」
「ああ、宜しくな、エリンシエ!」
「宜しく・・ヒルトさん!」
ヒルトの手に、右手で握ろうとした瞬間
ボロッと音を立て、エリンシエの右手首が乾いた粘土のように脆く砕けた
「?!」
「っ!」
右手首に激痛が走り、エリンシエは思わず膝から崩れ落ちてしまう
「エリンシエさん?!」
「あっ・・いった・・」
エリンシエは右手首を抑えたまま、暫く動かずいた時
結界師達が駆け寄ってくる
「エリンシエさん!」
「大丈夫か?!」
「おい、これ・・腐食が進んでる?!」
「腐食?」
次々と心配する結界師達にヒルトはきき返す
「こうなってしまえば・・全身に回るまえに
切り落とすしかない!」
1人の結界師がエリンシエの右手首を掴み、取り出したナイフで襲いかかる
「待って下さい!
私なら、出来ます!」
「?」
ナイフを持つ結界師の前にユリエフは立ちふさがり、エリンシエの腐食された右手首に
光の球体を生み出し、触れさせた
「我は光を司る者。
今、腐食された体を癒し
光の加護を受けたまえーーーー・・・」
ユリエフが唱えながら光の球体で
エリンシエを癒す
「っ・・」
「大丈夫ですよ、すぐに痛みはひきます」