第3章 半魔
街を襲った魔族は完全に結界の中へ封印され
そして結界ごと街から瞬く間に消えた
結界は街を覆っていたが、消えたのは魔族だけというこの術に
ユリエフは心当たりがあり
ヒルトは消えた魔族の行方と、エリンシエの目的が気になっていた
目の前では、命を救われた住人が結界師達を賞賛していたが、ヒルト達は黙ってその光景を見ていた
「ヒルト君、あの結界は天族でも使われたことがあるものです」
「!?」
「エリンシエさんがあの結界をどうやって習得したのか、気になります」
「俺も、何故魔族を生け捕りにしなくちゃいけないのか、生け捕りをした魔族をどこへやっているのか気になるな」
考え込むヒルト、ユリエフ
そんな二人にクライヴは冷静に話を切り出す
「おそらく、街の人間はその事に関しては無知だろうな。
見る限り、魔族を倒したと思い込み、結界師達を賞賛している・・」
「だったら、この事を調べるには、街の中だけじゃあ情報が足りないって事なんだな」
「どうしましょうか、ヒルト君」
「エリンシエに、まずは話をきいてみる
街の人には言えない事情があるはずだから。」
「だったら俺は街の外を調べよう
街の中だけではわからない事もあるだろうからな」
「わかった、クライヴは外を・・
俺とユリエフは中を調べる。
何かわかっても、わからなくても明日の夜、
街の裏手側にある門前に集合ってことで宜しくな」
「いいだろう」
クライヴはそのまま街を出てすぐに姿を消した
賞賛される人々の中を通り抜け、エリンシエが駆け寄ってくる
「お待たせして、申し訳ないわね」
エリンシエの右手に白く輝くブレスレットがはめられ、そこから先ほどの魔族の魔力と結界師のエリンシエの魔力が感じたヒルト
魔族を結界に閉じ込め、少し汗ばんでいるエリンシエに、ヒルトは何気なく話した
「そのブレスレットに、魔族を閉じ込めたんだな」
「!」
「結界という力の原理なんてのはわからないけど、異空間に閉じ込める術なくらいは知ってるんだ。
エリンシエ、教えてほしい
どうして魔族を閉じ込めてる・・いや、生け捕りにする必要があるんだ?」
「・・調べているの。
魔族がどこからきて、人に戻せる方法がないか。」
「!」