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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




白銀の剣と白と青を基調にしたフルプレートの鎧は磨きがかかっていた
腰から見える灰色の尻尾の獣毛をなびかせ
対戦相手を睨む瞳は赤く光らせている

「ヒルト・クローズ・・・」

相手の名を呟くその口からは鋭い犬歯をみせていた


「アレックスさん」

青い瞳は揺るぎない目をしている
持ち主よりも長く太い大剣は相手へ向けられ
風を覆わせて刀身を目視しにくい状態にしていた

その少年、ヒルト・クローズは緊張で司会員の声や歓声よりも
己の胸の中で響く鼓動音が一番聞こえているのがわかる
相手に話すべきこと、確認すべき事が多くある中で
どれほど応えてもらえるのだろう
そして負けるわけにはいかない試合
だが勝ってしまった時、アレックスはどうなってしまうのか
緊張と不安が心の中を埋め尽くす中
ついに司会員によって合図が出される

「ーーーーそれでは、本日の最終決戦
王国兵士、アレックス対、風を司るインドリーム、ヒルト・クローズーーー!」

湧き上がる観客の声はおさまることなく
更に激しさを増して行く


「いざ、尋常に・・・開始っ!!」


司会員の合図の後、結界は三重にはられる
それはアレックスがどれほど強力なのか物語る程分厚く
簡単には破壊されないように近くに結界師も立ち
常に術を発動して結界を強めている

結界の中での会話は外には聞こえず
アレックスが何か話しているのはわかるが
内容まではユリエフ達には聞こえない
だからこそ、ヒルトの表情のみで読み取る必要があった




「・・僕は負けるわけにはいかない
勝つ為に汚してきたこの手も、インドリームである君に勝てば洗われるだろう」

「アレックスさん、負けるわけにはいかないのは俺もです
そして貴方がジーナさんの為に戦っているのも知っている」
「!」
「ジーナさんが自由になり、願っていた彼女自身の夢が叶うことが
アレックスさんの夢そのもの。
だからといって、これ以上ここで貴方を戦わせていれば道を外し、抱いていた夢はいつか闇につきこまれて」
「黙れ!」

ヒルトの話を無理矢理打ち消すように声を荒げ、アレックスは眉間にシワを寄せる
「夢を持つインドリーム・・お前は世界の面のみを見ているからこそそんな悠長な事を言えるんだ」
「それは、アレックスさんが昔所属していた組織と
この国の建国時の事を知らないから、という意味か?」



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