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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




「お前はどうなんだよ、クライヴ!」
「・・・」
「お前が俺と同等っていうなら・・お前も選べばいいだろ!
俺を倒したいのか・・倒したくないのか!
俺にばっかり選ばせるなよっ!」

「ーーーー。」

息を荒げながら、ジェイクはクライヴに目を向けていた

負の感情がジェイクの瞳から感じれるクライヴにとって
どんな思いで話していたのかわかっている
それでも表情一つと変えずにしていたのは
クライヴにがこの感情をどうにかすることはできないと
知っていたからだ

「ジェイク、俺は既にお前に生きてもらいたいと思って選択している。
だからあとはお前の意志だ」
「っ・・俺はっ・・」


拳を握りながら黙るジェイク
一つ選択が誤れば、最悪の事態になる
明らかな敵対心を見せつけてもクライヴが動じなかったのは
結果が見えていたからだろう

観客席で僅かに見える仲間たちの表情は心配と不安で満たされ
ライセイは結界を破ってでも駆けつけようとしていた

盛り上がりを期待する観客と、心配させている仲間
どちらを取るか決まっている
腰にかけていた信号弾に手を伸ばし
迷うことなく敗北の狼煙を上げた



「ーーー勝者!闇堕ち、クライヴ・ベネディクトー!」

司会員の合図と共に観客は歓声を上げた

捲き上る歓声の中、自力で立ち上がろうとするジェイクに
クライヴは己の肩に腕を回し、ゆっくりと負担にならない程度で持ち上げていく
「肩をかすぞ」
既に傷が完治しているクライヴにとって
ジェイクを担いで移動することは容易であり
目を合わすことはないが出口まで連れて歩いた

「クライヴ・・ありがとう」
「礼を言われるほどの事はしていない
お前が逆の立場で、俺を仲間と思うならこうしていただろう」
「・・・そうだな」
「あと、この前にも言ったと思うが
お前が追うべき背中は俺じゃない、ヒルトだ」
「え」
「何か悩んでいることがあるのは俺でもわかる
そしてそれが簡単に解決しない事実で
俺ではどうにもできないのもな。」
「・・・俺、そんなわかりやすい表情で戦ってたか?」

クライヴの言葉に焦りを見せながら
それでも隠そうとするジェイクに
少しため息をつきながら会話を続けていた

「見ていればすぐにわかる
お前が悩むとすれば、己の種族のことだろう」
「そう・・・だな
けど詳しい事は言えない」



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