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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




剣を磨く音が響く

一人の男が金槌で剣を叩き、更に僅かな刃こぼれを研磨して
鋭く銀色に輝く剣を手に取る

「ーーーまだ磨く必要があるか」

小雨のような汗を額に満たしながら、男は更に剣を磨く

山羊の彫刻がほられ、黒い鞘には狼の群れの絵図が小さく描かれている


閃光虫によって明るく灯された鍛治の部屋に
剣を磨く音とは別に足音が聞こえる


「アレックス、剣に磨きをかけとるんじゃな」
「!
カンス様・・」
「ワシが闘技場の地下の鍛冶屋に姿を見せることが
そんなに珍しかったか?」
「いえっ・・ただ、どのようなご用件かと。」

アレックスは滴り落ちる汗を首からかけていたタオルで拭き取り
カンスに向かって姿勢良くたった

「昨日は派手に拷問されたようじゃな
ワシの命令とはいえ、これも王族直属の神官として兵士や市民を教育するために必要があったこと。
許してくれんかな」
「許すなど滅相もごさいません。
私こそ、出すぎた真似を王の前、民の前で行った事をお許しください」

アレックスは拳を握りしめながらカンスに頭を下げ、話す
そして握っていた拳からは力の圧力が強すぎて
拷問で受けた傷が開くほどのものであり
血が包帯の下から滲んでいるのを見るや、カンスは不気味な笑みを浮かべ
1つの液体の薬が入った小瓶をアレックスに差し出した

「アレックス、傷口が開いとるようじゃ。
これはワシからのせめてもの気持ちの品だが、受け取ってくれんかね」
「これはっーーー?」

真っ赤な液体はまるで血のように鮮やかに赤く、閃光虫の光によって更なる鮮やかさをみせていた
アレックスは差し出された小瓶を受け取り、中の液体に流れる微力な魔力に違和感を感じた

「これはな、アレックス
ワシら人の種が古来から傷を治すために使用している秘薬じゃ。
ワシも傷を負った時はこれを飲んでおる
そして傷だけではなく、疲労やあらゆる不調を回復させてくれる効果もあるからな
インドリームと戦う前にこれを飲んでおきなさい」
「・・畏まりました。
このような貴重な薬を頂けるなど、感無量です」

アレックスはその場で小瓶の蓋を開け
渡された薬を一気に飲み干し、またカンスに礼をした
カンスはアレックスの傷が治っていく瞬間を見届け、満足そうな笑みを浮かべた

「これは効果がありそうでよかった
お主の全力での戦いを期待しとるよ」



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