第9章 ディオン連邦共和王国
「・・・だったらこちらからも頼みがあるわ」
「?」
「もし、あたし達インドリームとアレックスが本気で戦う事になった時、闘技場1つ破壊するだけじゃ被害は治らないわ
だから、最悪の場合は結界で街を守り、住人達が死なないようにしてほしい。」
「これは驚いた
水族は人間種を嫌っているのが多く、その命すら軽くみていると聞いていたが・・君は違うようだな」
「他の水族と同じにしないで。
・・勿論、あたしだって人間種が苦手と思った時はあるけど
命が軽いなんて思ってないから。」
アランの揺るがない表情と口調で、ヘイデンは水族という種の認識を改める余地が必要と判断した
それほど心が動かされるほど、アランからは迷いがなかったのだ
「あともう1つ。
激戦になった時、ジーナさんを必ず守ってほしいの」
「・・いいだろう、飾りではあるが神官の元には就いておくから
我が王女を守ろう
ユーインは結界をはってくれるか」
「了解。」
アランの要望と己達の要望が叶えられることを確認し、ヘイデンはアランにアレックスの事を頼み、昼の部の対戦が始まるため
闘技場へ戻ろうとした
「ねぇ、最後にいいかしら」
ヘイデンはアランに呼ばれたため、足の動きを止めた
「貴方、昔水族と会ったことがあるの?」
「・・ある。
遠い昔の話だが、我の身近な女が水族であった
その女は、アラン・フォースタスとは違う思いを抱いていたようだがな。」
「・・・そう。
貴方が昔どんな水族と会っていたのかわからないけど
皆んなが同じとは、本当に思わないでほしいわ
あたしは、世界中の人が種族の分け隔てなく過ごせる世界を
実現するためにインドリームとしている。
だからーーー」
「そうムキにならなくてもよい、アラン・フォースタス。
我の認識は君の意志を見て変える必要があると判断した
・・そしてその夢はきっと叶えられる、君ならば。」
ヘイデンは振り向くことなく話し、そのまま鎧を装備してゆき
ユーインと共に路地裏を出て街中へ消えていった
アランは気をとりなおし、街道へ向かって昼食になるものを買って
闘技場へ戻ろうと足を早めた