第3章 半魔
だが、エリンシエは耳をふさぐ事なく、部屋から飛び出し、下の酒場まで走っていく
「エリンシエさん?!」
「どうなってるんだ?!」
ユリエフとヒルトが困惑する中、クライヴは北の方角の空に何かが迫ってくるのが見えた
「ヒルト、ユリエフ、魔族だ」
「?!」
「北の方角から魔獣ハーピー数十体と、それを率いる鎧に身を包んだ魔族が一人。
あの感覚からして、魔族は中級だろう」
「では、この鐘の音とエリンシエさんが飛び出したのはっ・・」
「鐘の音は敵襲の警報、エリンシエは結界師達を連れて魔族と対峙するためか!」
窓を開け、ヒルトは真下を覗くと
逃げ惑う人々と、それを助け、各地に結界師達を散らばらせ、指示をしているエリンシエがいた
「クライヴ、ユリエフ!
俺たちも魔族を迎え撃つぞ!」
「はい」
「了解だ」
そのまま窓から飛び出し、ヒルトはエリンシエに駆け寄る
「エリンシエ!」
「!」
「あの魔族と戦うなら、俺たちも応戦する!」
「ありがとう・・
だが、アレは我々で捕らえたいのだ。
インドリームの力で浄化されては困る」
「え?」
「どういう意味ですか?」
「あの魔獣も魔族も、生きてもらわなければ困る、だから捕らえる為にこの街全体に巨大な結界を張り、瞬時に捕縛するの!
彼奴らには、いろいろとあるからね」
「捕縛する必要がある?
それってつまり・・・」
「エリンシエ様!
間も無く結界の中に入ります!」
ヒルトの問いに答える事なく、結界師の掛け声と合図にエリンシエはその場で術を唱える
真っ白で半透明な壁が四方から作り上げられ
瞬く間に街を巨大な結界が覆っていった
「この結界・・」
作り上げられた結界に見覚えがある反応をするユリエフ
「転!」
「封!」
「印!」
周囲の結界師達が結界を完成させながら唱える言葉
そしてエリンシエも、結界を完成させていく