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IN DREAM2

第2章 風を司る者


「ハァー…」
ヒルトの話に、深いため息をつけながら
クライヴは渋々と食べた
「クライヴと出会ってもう一月がたつな」
目の前のベットに腰掛けながら、
ヒルトはクライヴの目をみて話した
「俺、本気でお前の事を怖いと思ったことはないんだ。
例え闇堕ちでも、記憶を無くして何者なのかわからなくても。」
「…」


闇堕ちーーーーー
それは暗黒戦争で闇に汚染された人が
稀に意志を取り戻し、人へと戻った者を指す
見た目は人だが、魔物になり果てた時に芽生える破壊衝動や
闇を好む性質はまだ残っている
だからこそ、世界中では闇堕ちが発見されると
危険因子として隔離、留置所、差別が行われる
そして、闇堕ちとなった者は皆、髪は黒く赤い瞳をすることで
すぐに区別がつくのも特徴だ

闇堕ちは時には魔物へと戻りかねない。
だからこそ、誰もが恐れるのだ。

クライヴもその一人だった

「まぁ、この街は平和だし、俺たちがいる必要もないな。
今日の夜人目がつかないようにでていく予定だから」
ベットで荷造りしながら話すヒルトに
クライヴは暫くだまり、そして何か話そうと思ったとき
ふと、窓辺から外を見た
宿の下でもめる人々
男達が取り囲んでいるのは深くフードをかぶりこんだ
女性だった

「…ヒルト、お前の出番だな」

「え?」

クライヴは窓の外の様子を目でおいながら
ヒルトに見せるようにした

その光景を見たヒルトは勢いよく飛び出し、群がる人々の中へと向かっていった




「あんたぁ、見慣れない人だなぁ?
こんな髪色して…見た感じ、老婆じゃねぇだろ?」

1人の男の子は目の前に立つ小柄な女性の髪を軽く触れながら話していた

女性は深くフードとマントをかぶり、完全に顔は隠していた
だが、僅かに見える長髪は光を浴びたように真っ白だった

「…すみませんが、ご質問にお答えください。
この街にインドリームと名乗る者はいませんか?」
女性は小声で話す
だが、その口調は自信に満ちている
この街にインドリームがいるのはわかっている。
そう、感じさせるものだった

「んなぁのはしらねぇな!」
女性を囲む男達は次々と口を開いていく

”そんな奴らはしらない”
”この街には来ていない”
”よそ者は出て行け”



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