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IN DREAM2

第2章 風を司る者


赤い煉瓦を中心に建てられた市街地
人々は笑い、色鮮やかな果物や野菜を手にし、他愛ない会話が続く
老若男女、皆が平和に暮らすこの街で
1人、特殊な存在がいた

青い瞳で、茶髪に少し尖った髪を右にながし、
深緑の長いマントをなびかせながら
赤い半袖に藍色の長ズボン
腕と足にはガンドレットを着けている。
優しく微笑んだ顔で少年は果物が入った紙袋を抱えながら、宿の中へ入っていった

入り口正面にあるカウンターの用紙にペンをとり、
流れる様なひっ筆でかいていく
その様子を見ていた店主の男が落ち着いた表情で話しかける
「もう、でていくのかい?」
店主の問いに、少年はペンを置き、答えた

「あぁ。
この街は平和だし、俺たちがいなくても大丈夫だろうからな!
明日、ここをでるよ」
明るく答える少年に、店主は微笑みながら言った

「そうかい、ご苦労様だね、インドリームのヒルト・クローズ君」
「ありがとうございます」
軽くお辞儀をし、ヒルトは二階へと続く階段へ登って行った
二階には五つの部屋に分かれ、両端に四つ、突き当たりに一つある
ヒルトは真っ直ぐ進み、突き当たりの部屋へと入り、鍵をかけた

「ほら、食えよ、クライヴ」

紅く綺麗に実った果物を紙袋から一つ取り出し、ヒルトは窓辺で景色を眺めていた少年の名前を呼びながら投げた

黒髪のショートに赤い瞳
黒く長いマントと暗い紫色の服と群青色のブーツ
どこか光が宿らない目をした少年
だがヒルトは何の躊躇なく接した

「俺は食わない。
喰う必要がないからな…
俺に渡すなら、他の奴に渡せ。」
クライヴは冷静に答え、実を投げ返したが

実はヒルトに届く前に宙を舞ったまま、止まった
風に包まれ、その場で浮かぶ実は
ヒルトが、指を指す方へ飛んでいった

「…おまえな…。
風を司るインドリームなら、そんな力の使い方はするな」
「わかってるって!
けど、実を投げ返すくらい、魔力を消費した事には入らないし、大丈夫さ。
クライヴが俺や他の人と違って、特殊な体をしていても、それでも食べて欲しい。
ここの街で売られてる木の実はとっても美味しいからな!」

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