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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国



魔法ということに関して深く研究し、それは美学があってこそだと感じているアークにとって
魔力も切れている状態で無理矢理作る魔法はあまりにも
見るに堪えないものであり、己が侮辱されているような感情にもなる

「・・我が主からはラルゼを通してインドリームに傷をつけるな、と言われていましたが・・・。
少しあの少女は堪えきれませんね」

アークは小声で呪文を唱え、指を鳴らした

その瞬間、息を切らしていらイリヤの目前に巨大な
宝石の黒翡翠で造られた剣が振り落とされ
イリヤの頬を数ミリかすり、ギロチンのようにまっすぐ落ちてきた

「―――っ?!」

目を見開き、イリヤはあまりの恐怖で全ての戦意を消失し
腰から崩れていく


空中に浮いていたアークはイリヤの完全に戦えない状況だと判断し、同じ地平線へ降り、近づいた

「私の勝ちですね」

アークの声で我に返ったイリヤは敗北という屈辱と
ヒルトの力になれなかった己を責める気持ちで胸が苦しくなり
鼻を赤くし、わずかに涙をながしながら信号弾を打ち、自ら降参と認めた



「――――ーしょ、勝者、アーク!!」

司会員の声の後に観客の歓声が沸き上がり
アークは満足そうな笑みを浮かべながら、観客に手を振り、その場から退場した

「っ・・。」

涙を拭きながら立ち上がるイリヤ
その暗く重い頭に、一人の手がおかれた

「気にすんな、お前の分まで俺がやってやるから」

次の対戦相手と戦うため、会場に姿を現したライセイはイリヤの頭を撫でながら慰めた

「うん・・ありがとう・・」

涙で目がいっぱいになるイリヤの表情にライセイは多少困惑しながら
ハンカチを渡し、イリヤが最後まで退場する姿を見届けた



「――――これは衝撃の展開だー!
世界を救うインドリームと呼ばれた者が、闇の魔術師に敗北したー?!」

司会員の言葉に観客はイリヤへ罵倒し、あざ笑う
その声にライセイは忍耐の糸が切れ
巨大な落雷を司会員がいる近くへ落とした
突然の衝撃で司会員は言葉を失くし、観客も静まり返る

「てめぇら!
好き勝手に言ってんじゃねぇぞ!
たかが闘技場で負けたからなんだ?!
あいつが負けたとしてもそんなことで世界は終わらねぇし
あいつ一人でインドリームじゃねぇんだよ!」

ライセイの声に、誰一人反応することなく
息をする声すらも聞こえないほど、静まり返った




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