第3章 半魔
「・・俺は、立場や人種が原因で敵だと言い張り、立ち向かうわけじゃないんだ。
ただ、皆を、世界を闇から救いたい
それだけを夢にして歩んでいる。
勿論、襲われた時や仲間が危険な時は剣を取る
けど、殺す為ではないって事だ。」
ヒルトの揺るぎない言葉に圧倒され、言葉が詰まるエリンシエ
「そ、そうなんだ。
流石インドリームね、考え方がちがうわ」
「だったら次はこちらの質問にこたえてもらおうか」
「?」
エリンシエに吐き捨てるように話しかけるクライヴ
「お前の本当の目的は何だ?
俺たちを使い、半魔や魔族を狩ることか?」
「ーーー。」
「街の中に張り紙があった
あれは街に魔族や半魔が立ちいればすぐに結界師を呼び、滅する為のもの。
だが、張り紙の中には人間では敵わないと言われている中級、上級の魔族や半魔の指名手配もされていたな」
「あの短時間でよく見ていたのね
確かに、私たちだけでは中級や上級魔族は相手に出来ない。
けど、アレはただのエサよ」
「エサだと?」
「そう、私達結界師が探している真のターゲット《漆黒の盾》という半魔や闇堕ちで構成された組織を見つける為のもの。
彼等を見つける事が最優先だからね」
「その漆黒の盾という組織は何をしているのですか?」
「・・・それは、言えない。
ここで言うより、実際に見てほしいわ」
行き詰まった感覚で吐き捨てるエリンシエ
ヒルトとユリエフは見合わせながら、答えた
「わかった、結界師の事や町の事、半魔の事を教えて貰いながら、俺たちに組織がしようとしてること、見せてほしい
もし、協力できる事なら、したいんだ。」
「ヒルトさん・・」
「私も、ヒルト君と同意見です」
「・・好きにしろ。」
「皆さん、ありがとうございます!」
頭を下げるエリンシエ
そんな中、突如街の鐘が異様な音をたてながら響き渡った
教会の鐘、高台の鐘、街の全ての鐘が鳴り響く
耳に残るこの音に、ヒルトは耳を塞ぎながら身構える
「!」
「この音はっ?!」