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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国





その日の闘技場の日差しはとても強く、室内からでてきたイリヤは
目を細めて右手で日差しを隠すようにして登場した

イリヤの姿を見た観客の一部は歓声から疑いの声へかわる
世界を救うと言われているインドリームが、己より遥かに小さな子供であり、更に肌の色から土族であることが明白にわかる
土族はドワーフと巨人が混ざり合ってできた種族
容姿からイリヤはドワーフの血を強く引いたように見えた事から
更に観客は嘲笑う者もいる
ドワーフは身長が小さく、大人の男でも130センチ程しかない
その姿は他の種族や人間から見れば滑稽なのだ

イリヤは嘲笑う観客など気にもとめず、戦う相手だけを見ていた
それは中傷されている事に何も感じないのではない
多くの戦士を数分で倒した相手が、一度目にしたことのある男だったからだ

ショートヘアーの深い青の髪を右にながすようにわけ
赤い両目の瞳からは攻撃的な闇を感じる
右手に持った魔導の杖は長く、持ち主の身長よりあり
黒と青を基調としたローブをまとった男

自慢気に満ちた表情を崩さずこちらを見つめる
そしてその周囲には氷の壁と尖った先には
体を突き刺さったまま死を迎えた戦士達が残されていた


イリヤはこれから戦う敵が強力であることがすぐに理解できる
その正体は遥か昔、魔導国を建国した張本人であり
今はクライヴの守護霊として活動をする魔術師、アークだ



「最悪。」

口から溢れる言葉はイリヤの心に浮かんだ最初の感情であり、それを止めることはできなかった


「これはこれは・・・
土のインドリームが相手とは
面白くなりそうではありませんか」

余裕から出る笑みは不気味であり
イリヤを見ながら挑発的に話すアーク

イリヤは魔法で己の体に封じていた武器
巨大な金槌を持ち出し、両手でしっかり握りしめて構えた


(ここにいる事情は昨晩、クライヴが見せてくれた映像でわかるけど
相手が闇の騎士でもある以上、全力で戦って勝ち目があるかわからない
それでも・・!)

イリヤは心の中で不安をよぎらせながら
それでも勝つための方法を考えながら
決意に満ちた表情をアークへむけた

(それでもイリヤは全力で戦わないといけないっ!)



「ーーーそれでは・・・開始っ!」


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