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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




ヘイデンは兜を被り、部屋から出ていくのを確認したアレックスは
1人、服を着ながらため息をついた

「はぁ・・」

傷口は赤く腫れ上がり、直接服を着ることで痛みが走る


拷問の部屋に包帯など応急処置の道具はない
だが、目の前に包帯を持ち、差し出す手が視界から入り
アレックスは目を丸くしてその差し出した先を見た

「必要だろ」

「ーーー何故・・君がここに・・
クライヴ君」


包帯を差し出すクライヴの背後には
闇をまとった女性の暗殺者が控えていた
それはクライヴを守る為に存在しており
クライヴとは主従関係ということが明白だ
そうなればクライヴがいつからここにいたのか、気になる



「いつからここに?」

アレックスは当たり前の質問を投げかけた
それでもクライヴは呆れた表情で答えた

「あんたがこの部屋に連れてこられてからだ。
ラルザの暗殺術を使えば、いくらでも侵入はできるが
・・ヘイデンは気づいていたようだな」
「?!
彼とは面識があるのか?」
「この国で初めて会っただけだ
あんたのように、昔共に戦った仲ほどのものじゃない」
「・・・。」

アレックスは全ての会話が筒抜けであったことで
多少の恥があったのだろう
クライヴから目を背け、沈黙を続けながら
傷口に包帯を巻いていく

「僕がしようとしていることが
馬鹿らしく思うかい?」
「・・・」

1人の少女が自由に夢を抱き、それが叶えられる為に戦う
そんな事の為に己は傷ついてもいいという事に
アレックスはクライヴから同情などされないと思っていた
なぜならクライヴから感じる気が
常人のものではなかったからだ
同じ闇堕ちでも格が違うと感じていた

「守りたい人の為に戦うことに
俺は馬鹿になどしない」
「!」
「だが、少女の夢が叶えられることが
同時にお前の夢でもある。
お前はその夢のために多くの命を奪い、闘技場で血を流した
・・夢の達成ならば手段を選ばない」
「・・・ーーーー」
「己の命を含めて、少女以外の命を軽く見てるように思えるが
どうだ?」

クライヴの核心をついた言葉に
アレックスは思わず鼻で笑い、否定しなかった

「ハッ・・
君は本当に・・どこまで見通しているんだ」
「図星か」
「あぁ。
君の言う通り、僕は彼女のためなら手段を選ばない
それがどうかしたのか?」


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