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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国



「王権を守るため・・ですか」

ヒルトは深刻な表情で呟く

「いかにも。
どんな種族であれ、身を守る為ならば手段を選ばん
それは歴史が証明してきたじゃろう」

「・・少し、考えさせていただけますか
俺たちインドリームは確かに人々を闇の脅威から守ることが役目です
それでも一国の事情の中で、踏み込んではいけないこともありますので。」
「よかろう、ヒルト・クローズ。
まずは明日の闘技場で様子を見ても良いじゃろう
本日も強力な挑戦者がいたことから、例え君達でも全員が確実に勝てるとは言い難い。」
「ありがとうございます
ついでにあともう1つ、聞いても良いでしょうか?」

ヒルトにはアレックスともう1人の存在がどうしても気になっていた

「ジーナ王女様は今どこに?」

カンスは何故そんな事を気にしているのか、と言いたいのだろう
喉の奥から出そうになるその言葉を飲み込み
冷静な態度を貫いた

「ジーナ王女は今、隣国の王と食事をし、これから迎える披露宴の件で打ち合わせをされておる。」

「・・来月に迎える披露宴のための準備ですか
ではもう街を自由に歩くことは難しいと?」

「勿論。
今までジーナ王女の兄にあたる次期国王が
せめてもという気持ちで与えていた猶予期間。
本来一国の王女が街を自由に歩くなど、許されることではないのじゃ。」

カンスは苛立ちを見せながらヒルトの問いに答える
だがヒルトは動じず、冷静に対応し、カンスに謝礼をした

静まりかえる食卓の中、カンスはインドリームとして旅をしてきた中での経験を語るよう話題を振り
その場の空気を和ませようとした

対してライセイとアランは腑に落ちない感情を抱きながら
沈黙するも、ユリエフとイリヤ、ジェイクはカンスに応えるために
今まで経験した事を語る

その内容はカンスの機嫌を損ねることなく
苛立ちを覚えていた表情から笑顔を取り戻すほどのものであった



食事を終え、カンスは寝泊まりのための一流の宿を提供すると
インドリームを招くも、既にアレックスが経営している宿に荷物があることから
丁重に断り、場内を出て街を歩くインドリーム

宿屋に戻ると入口の鍵は空いており
カウンターの酒場にはクライヴが座っていた


「遅かったな」

暗闇に反応して光る閃光虫の働きにより酒場は明るく
その光はクライヴの表情をしっかりと照らす


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