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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国


アレックスは自らの手を見つめ、強く握りしめながら語る

「闘技場で優勝すれば、この国での問題を解決することもできるし
僕の階級ではどうにもできない事を何とかできる
今の僕にはどうしても必要だ」

「・・それは優勝して王になりたいと言えばなれる、ということか」
「なれる。
実際に今の王族はそうして権力を握ったからね」
「?
ただの人間が闘技場で獣族と戦い、勝利したというのか」

握りしめる拳に更に力を込め、アレックスは話し続けた

「人間達は直接出場していない
雇った傭兵を戦わせ、自分達だけ甘い蜜を吸ったんだ
当時、僕もその傭兵の1人だったから内側の事情は知っている」
「その傭兵は火族かその眷属か?」
「ハハハッ、まさか。
組織だよ、君も見たことあるだろ
僕と同じピアスをつけた魔族や半魔、闇堕ちという闇の住人が
正気を保って命令に従って動いている者達のことを。」

クライヴは真っ先に路地裏で出会ったヘイデンとユーインと魔人の事を思い出す
彼等もアレックスと同じピアスを付け、命令とあれば殺戮は厭わない組織の存在をーーーーー。

「組織の者達とは会ったが、お前が元々そこにいたのなら
そう簡単に抜け出せるものなのか?」

クライヴは疑いながら話を進める
その問いにアレックスは両手を軽くあげたながら
首を少し振り、神官の護衛兵に目線を向けながら苦笑いする

「さぁね、僕はいつもどこかで組織の奴等に監視されていると思っている
組織を抜ける事は許されるが、その分監視され続けるんだ
どこに行っても、必ず奴等はいる。
人の皮を被ったり魔術で偽装したりしてね」

アレックスの目線と話の内容でクライヴはどこに監視がいるか
見当が付き、黙って頷く
言葉でなくともアレックスとクライヴは表情などで
分かり合えるところがあった

「組織から監視されるなら僕がつけているピアスを外せばいいんだろうが
それは同時に僕を抹殺対象としてみるだろう
だから僕はこれを外すことはできない
・・ここで殺されるわけにはいかないから。」

「ーーー奴等が監視しているのはそのピアスが重要だからか?
それとも、お前自体が危険だからか?」

「どちらもさ。
このピアスは特別だから人の手に渡ってはいけないし
同時に僕が暴走してしまうのも危険だからね
君もきっと、僕の正体を知ればこんな風に話はしないさ」
「それはどうだろうな」
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