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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国



「先程会って来たところじゃ
面白い奴らじゃったよ
インドリームは各種族が保有するエレメンツに合わせて
抜粋され、選ばれた者達の集団と聞くがまさにその通りであった
中には水族の女までおったからな、はっはっは!」

「・・・。」

「ではな。
明日はくれぐれも気をつけるんじゃよ」

神官は闘技場の貴族だけが座れる特別席へ繋がる通路へ歩いていく中
共に連れていた兵士も足を進める
そのうち一体の兵士はアレックスの隣を通り過ぎ様に一言呟く
「ーーー。」

その声は小さく、クライヴには聞き取れない内容であるが
獣人のアレックスには十分な声量であり
その内容は冷静に対応していた表情を簡単に
崩すものだったのだろう
兵士が過ぎた後、アレックスは目を見開き
微かに尻尾の毛が立っていた
相手を警戒する時や、恐怖を覚えたときに獣がだす仕草である

「では。」

兵士は神官の後を追い
アレックスの肩に手を置いてから去って行く
その姿を見守るようにアレックスは見つめるが
実際は見守っていたのではなく、睨んでいた
驚きから敵意へと豹変したのは
兵士の話した事がアレックスにとって都合が悪く
それはどんな手を使ってでも阻止しなければいけない内容だったのだろう
現状の様子を見ていた者なら誰でも理解しやすいことだ

「アレックス、どうかしたのか」
「あっ・・いや、なんでもないよ
気を使われてしまって申し訳ない」

先の敵意の目ではなく
すぐに味方へ向ける優しいものへと変わる眼差し
表情を一瞬で切り替えることが出来ることから
アレックスが普段どれほど王族や貴族と接し
その都度不満が溜まるがプライベートで解消し
顔を使い分けれている器用さが読み取れた
だからこそ、クライヴは更にアレックスへの警戒心を高くし
アレックスが何を求めているのか具体的な内容を聞き取る必要があると判断する

「この闘技場に優勝すれば、何を手に入れる事ができる?」
「・・・どうしたんだい、急に。」
「興味があるだけだ
噂では闘技場に優勝すれば、何でも願いが叶うと聞いたからな
それがどれほどのものなのか、確認しておきたかった」

クライヴの言葉にアレックスは口を紡ごうとしているが
隠してもわかる事だと判断し、すぐに真実を語った

「この国で叶えられることは全て聞き届けられる
それが俺のような獣人で山羊人と狼人の混合種だとしてもな」

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