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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




クライヴには共感して欲しかったのだろう
一度は同じ闇に堕ちた者として
力だけでは満たされないものがあると

心の乾きとは、大体予想がつく
それは大切な想い人を守りたいという人が抱く感情
かつてミレイアを守る為に多くの命を闇に葬った事がある
クライヴにとって
アレックスは誰かを守る為に闘技場にでているということに気づけた

イラつきをみせて尻尾を振ったのは
想い人の事を思うと嫌な存在の事も思い出すからだろう
そしてそれはアレックスの今の身分ではどうしようもない状況


「僕が闘技場で求めるのは、あの人の未来を変えてあげたいからだ。
これから訪れる事は・・あまりにも辛すぎる」

「・・・」

アレックスは悲しげな表情をして語る
具体的な状況は掴めていない中でも
クライヴはアレックスが背負っているものが
重いものだとすぐに理解できた





「アレックス」

「!」

近くで声をかけたのは素顔を隠した護衛兵を2人つけた
老人の神官だった

「ザック神官長殿!
このような場所におられるとは・・如何なさいましたか?」

アレックスは腰を低くし、頭を下げるような姿勢でその神官に敬意を表した

白色を基調とした服に
金色の装飾と立派な丸い帽子を被り、ふさべりはシルクの亜麻布で作られている
白い髭は顎を隠す程伸び、その髭を触りながら神官はアレックスへ話しかけていた

「フム・・・。
本日参加した者の中でなかなか手強い者がいると聞いてな
最近骨のない者ばかりだったから、見物しに来たんじゃよ」
「さようでございましたか。」

「ーーーそれで、その闇堕ちの少年は?」

「とある旅人だ
名乗る程の者ではない。
この国には闘技場という興味深いものがあるときいて立ち寄り、アレックス殿に話を聞いていたところだ」

クライヴは当然、正体を隠し、アレックスとの関係も誤魔化した
目の前にいる神官に警戒していたのではなく
背後に構えている兵士から闇の魔力を感じていたからだ

「ほぉ・・なるほどなるほど。
お主は力を持っとる者じゃな
強者の目をしとる」
「ーーー貴重なご意見、感謝する」

軽く頭を下げる礼儀正しさに神官は満足したように笑う

「ではアレックス、明日の戦いを楽しみにしておるよ
あの闇の騎士も見ものだが、なんとインドリームも参戦するようじゃからな」

「ーーーインドリームが・・。」


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