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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




「・・・。」


クライヴは闘技場に出ているサルナスを見るや
すぐに目を隠すように片手で抑え、失望していた

「どうした、クライヴ君?」
「いや、なんでもない
・・今日のエントリーは終わったのじゃなかったのか?」

「そうだが、特殊なエントリー者がいると
イレギュラーで参加することは可能だ
・・あの騎士はここからでも感じる
闇の危険な魔力を持っていると。」
「そうだろうな。
まぁ・・見ものだな」




「――――さぁ、始まりました!
闇の騎士と魔獣の戦い!
どちらかが死ぬか、信号弾を打ち、降参と認めなければ終わることのない闘技場!
それでは両者とも・・よろしいか?!」

サルナスは漆黒の剣を抜き、大楯を構える
魔獣は筋肉をはち切らしそうになりながら、涎を垂らしながら
闇を纏ってサルナスを睨む

「―――――それでは・・・はじめっ!」

司会者の合図と同時に
サルナスは一気に魔獣へ距離を詰め
剣をしなやかに動かし、目にも留まらないスピードで動く

魔獣の手足をいとも簡単に削り取り
反撃も許さないほど早く攻撃していく

悲鳴を上げる魔獣にサルナスは更に攻撃を繰り返し行い
その動きに戸惑いや情けなどなかった

「さすが、闇の騎士だな
あんな強い方がなぜ闘技場に・・」

アレックスはサルナスの戦いに圧倒されている
だがクライヴにとってはサルナスが手をぬいて戦っている
事が明白であり、魔獣を瞬殺しないのは憑依している死体では
完全に力を発揮できないからだろう

「アレックス、一つ聞いていいか」
「?」
「お前も闘技場に参加しているはずだ
だったら、何を望んで戦っている?」
「――――」
「この国に入国するさい、とある兵士達がお前が危険な存在であり、闘技場で一番の優勝候補者と言っていた。
一体闘技場で何を得ようとしている?
王国の近兵として生活していれば、十分不自由ないだろう」

クライヴの核心をつく問いに、アレックスは拳を握りしめ
腰からでている尻尾はイラつきを見せるように上下に振っていた

「・・たしかに、身分は十分だ
近兵というだけで、素敵な出会いもあった。
だが、心は満たされていない」
「心?」
「そうだよ、君も同じ闇堕ちであるなら、心が乾き、絶望に満たされた時があるだろう
僕はその渇きを二度味わいたくないから、この闘技場にいる。」
「・・それはつまり・・」
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