• テキストサイズ

IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




アレックスは倒れていた牛人を起き上がらせ
腰についていた土を払う

「まったく、君たちは明日の闘技場に出場するのだろう
こんなとこで喧嘩を売ってないで、鍛錬をしたらどうかな」

「あ、あぁ。
すまねぇな、アレックス」

牛人と狐人の兵士はそのまま街の人込みの中へ消えてゆき
クライヴは黙ってその場から去ろうとする
だが、アレックスは逃がそうとはしなかった

「待て」

群衆の中でも通る声は
確実にクライヴへ向けられているものだ

「君は・・闘技場の参加者か?」

クライヴがインドリームと共に入国する際に押印した印が手の甲に押されており
手袋をしていてもそれは浮かび上がる魔法が掛けられていた

「参加者だったらどうした?」

「・・同じ闇堕ちとして、個人的に聞きたいことがある」
「!」

クライヴはアレックスの瞳が赤く光っていることから
まぎれもない同族と判断する
そして、ヒルトが気にしていた闘技場の優勝候補者と同一人物であるということも。

「よければ、貴殿の名を聞きたい」
「・・クライヴ・ベネディクトだ」

「そうか、クライヴ君
僕はアレックス。
この国で王族の近兵として活動している者だ」

クライヴに近づき、アレックスは手を差し伸べる

「よろしく」

「―――――・・・。」

クライヴは差し伸べられた手を少し見つめ
すぐに握り、同じように答えた



騒動が済んだことで群衆は散ってゆき
アレックスはクライヴを連れて街道を歩いていた


「クライヴ君は、どうして闘技場に?」
「唐突だな」

アレックスは賑わう街道を歩き、商人や獣族や人間の住人に手を振って挨拶をしながら
クライヴに問うが、クライヴは即答しようとしなかった

「そう警戒しないでほしい
僕は同じ闇堕ちでも、君のような特殊な存在がこの国に来た理由も知りたいんだ」

「・・・・。
友と旅をしていてな。
そいつらが闘技場に参加すると言い、俺も同行していたから
この印を押された。
特に俺自身が何かを求めているわけではない」
「それは珍しいケースだね」
「?」

アレックスは二つに分かれている道のまで立ち止まり
クライヴへ振り向いて話した

「何も願望がない者にその印は押せない。
誰しも願いを込めて闘技場に参加し、その印が押されるんだ」
「願望がない者には押せないとは?」



/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp