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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国


「オーヴァ、ジーナ
まだジンゲンつればぁーな」

「ヘルス戦士、彼等はまた特別だよ
普通の人間じゃないから大丈夫」

人の言葉と獣族の言語が混ざり、牛人の戦士は少女に語りかける

インドリームの誰も解読できないその会話に
少女は簡単に回答し、そのまま奥のカウンターへ向かって歩き出し
インドリームにも来るように呼ぶ

少女の声は賑わう酒場でもはっきり届き
幾人かの獣族がこちらを見ながら
睨む者もいる

少女の傍で椅子に座るヒルトとユリエフ、アラン、イリヤ、ライセイ、ジェイク

少女は深く被っていたフードをとり
潤いがある長い茶髪をなびかせ
オレンジ色の瞳を丸々と輝かせ
額には小さなダイヤで飾ったティアラを装着していた

「名乗るのが遅くなってごめんなさい
私はジーナ・イレスティア
この宿屋を経営している彼と仲が良くて
よくここで旅人や闘技場の出場者の方々を紹介してるの」

ジーナはこちら側に背中を向けながらグラスを拭いているバーテンダーに目線を向けながら話した

それでもバーテンダーはジーナに振り向こうとはせず
焦らすように語りもしなかった

「アレックス!
貴方も何か話してよー!」

山羊の角を頭から二本生やし、漆黒のベストは
頭部の黒髪のせいで馴染んで着こなしているのか

背中から感じる孤高の雰囲気は独特なものだった

ジーナはバーテンダーの男をアレックスと呼び
やっとこちらへ素顔を見せ、振り向いた

その表情は門兵がヒルトに見せた
闘技場の出場者の中でも一番の強さをもち
優勝候補者で、闇堕ち。
そしてとある組織に所属していた謎多き人物本人だった

赤い瞳は血を流したように赤く
腰からは狼族の特徴の尻尾を生やしている

「・・ジーナ、また人間を連れてきたのか
もう闘技場に参加させるような誘導はするな」

「違うわ、アレックス!
私が声をかけた時には既に印を押されていたの。
だからここなら安心して過ごせると思って来たのよ」

アレックスの呆れた表情は同時に冷たく
ジーナとの温度差は歴然であった

若い歳であろうアレックスは青年といえる見た目であり
ジーナとは年齢的に離れているようにみえた

「はじめまして、アレックスさん
俺はヒルト・クローズ
こっちは俺の仲間で、今日初めてここに来たんだ」

「よろしく、ヒルト君
だが申し訳ない。
僕は君たちの力にはなれないと思う」
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