第8章 監獄と闇の騎士
白い楕円形の気球を金色の装飾で飾り
動力源となる球体の溶炉には青い液体が満タンに入っている
後方には三枚の羽でつくられたプロペラが5つ装着
下方部分には魚の胸びれを模したベイロードが左右に付けられている
複雑な機械と魔法で造られた飛行船は巨大であり
その場にいたインドリームは驚嘆のあまり、すぐに口にだせなかった
「これは私からインドリームへのプレゼントですわ
より旅を効率よく動かす為には、必要な移動手段でしょうし。」
「キャリーさん・・ありがとうございます
でもこれではさすがに目立ちます・・
魔族や敵の格好の的にまりかねません」
「その心配はありませんわよ、ユリエフ様
この飛行船はずっとここにあり、天族の意志に反応して姿を消すことができますから」
キャリーはユリエフの手を取り、飛行船でまっすぐ飛び上がり
動力源へ手をかざすように伝える
ユリエフがかざした瞬間、動力炉は光を放ち、魔法の印が浮かび上がる
「さぁ、ユリエフ様の意志を込めてみてください
さすれば、全てその通りに動き、飛行船は応えてくれますわ」
「・・私の意志・・?」
「そうですわ、この飛行船にヒルト・クローズでも呼んでみてはいかがでしょう」
「――――。」
ユリエフは飛行船に足をつけ、ヒルトへ手を差し伸べた瞬間光の階段が伸び、ヒルトの足元へ届く
「す、すごい」
ヒルトは輝く光の階段に恐る恐る近づくが、脚を踏み出してよいのか不安がよぎる
「ヒルト・クローズ
それは物理的に登れる階段ですから、上ってきなさい」
「―――――。」
キャリーに導かれるまま、ヒルトは階段を上り、飛行船までたどり着く
「ヒルト君」
ユリエフはヒルトの手を取り、飛行船に乗せ、そのままアラン、ライセイ、ジェイク、イリヤ、クライヴにも階段を指しだし、上ってくるよう伝えた
「こうみると、ユリエフが改めて天族ですごい存在だって感じるな」
「なに失礼なこと言ってるのよ、ライセイ!
イリヤはずっとユリエフちゃんは変わらず、いつものユリエフちゃんって思うよ?」
「・・・それ、ユリエフが何しても威厳が感じられないって聞こえるぞ」
「細かい事は気にしなーい!
さぁ、行こうよ」
イリヤはライセイの背中を押しながら階段に上り、アランとジェイクも階段を上る
そしてクライヴにも階段が差し伸べられているが、すぐに登ろうとはしなかった