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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



「・・昔、サルナスが同じような能力を使用した者と戦ったことがある。」

クライヴの言葉にヒルトの手は微かに反応し
その場の空気がかわった

「そいつはインドリームではなかったが、突如現れては異様な能力や術で襲ってきてな
精神世界へ魔力を流して内側から倒そうと試みたが、魔力が尽き果てて死んだ。」

「・・・」

「当時の事はサルナスに聞けばより詳しくわかるだろうが
ヒルト・・お前はどうやってそいつと同じ技を使用できた?」


歩いていた足取りは止まり、クライヴへ振り向いた見せたヒルトの目は悲しげな感情を混ぜていた


「ーーーーその人のことは知らないけど
クライヴを助けるために使用した技は、俺が独自で生み出したものなんだ
この世界には物理的な問題だけがあるんじゃない
世界を・・仲間を守る為には内側から救うべき事もあるからな」

「・・・。
ヒルト、お前は何者なんだ
天族や闇族でもない只の人間種・・風族のお前は長寿でもない
その歳でどうやってそこまで知ることができた?」


この問いは、今聞くべきことではないだろ
それでも友として知っておくべきでもあると感じた

危険を冒してまで友を守ろうとしたヒルトに
クライヴは同等以上の対応が必要だと思っていた

只襲ってくる敵からヒルトを守るなではなく
先に手を打つことも必要な時がある
そんな時にヒルトの事を知らずして出来ることはない


「・・・俺は風族で、風を司るインドリームだよ、クライヴ
それ以外の何者でもない。
仲間を守る事はリーダーとして必要なことだし、俺がそうしたいからいろんな事を学んだんだ。」


ヒルトの答えに対して、より詳しく確認したいことは山のようにあった

それでも口をつぐみ、これ以上この話に触れないと判断する

ヒルトの悲しげな表情には、簡単に説明できないほど複雑なものが混ざっていると察することができたからだ

闇族として何百年も生きていたクライヴだからこそわかる目だ

かつて、己もしたこたことのある目だった


「そうか。
余計な詮索をして悪かったな」

「大丈夫だよ」

無理に作った笑顔

ヒルトがクライヴに向けた表情が、その場を乗り切るためにつくったものだと、すぐにわかった



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