第8章 監獄と闇の騎士
「クライヴ」
名を呼ばれたことでクライヴの夢は覚め、監獄の森の中
ヒルトがのぞくように見ていた
「・・・ヒルト」
仰向けになり、寝転がっているクライヴに
ヒルトは微笑みながら話続けた
「調子はどうだ?」
「ああ、問題ない」
「よし、立てるか?」
ヒルトの差し伸べられた手を握り、クライヴは体を起こした
うす暗く、黒くそまっていた木々は白く染まり
天に浮かぶのは夜明けのような明るさと、星々が散りばめられていた
鬼との激戦を繰り広げた後が所々見当たるが、鬼神が消えたことで鬼は敵意を失くし、クライヴを主と認め、姿を隠した
「なんとか俺の固有結界として安定しているようだな」
「そうだな
クライヴが鬼神に襲われた時は、正直焦ったけど
信じてたぜ、クライヴなら負けないって。」
「・・・。」
「ミレイアさんともお話しが出来ましたし、本当の言葉を聞けてよかったですね、クライヴ君」
「ユリエフ・・!」
優しく微笑むユリエフは森の中から姿を現し、ヒルトの隣で立ち止まって話した
「クライヴ君が監獄を制御し、統制したことで世界の風景も魔力も変わりました
赤い蝶は消え、彷徨っていた魂も天界へ招き入れる準備をし、終わらない輪廻から救い出せそうです」
「―――そうか。」
一息つき、深呼吸したクライヴ
そして、ヒルトとユリエフの名を呼び、心からの言葉口にした
「ありがとう。
お前達がいなければ、俺は闇に飲まれ、消えていた・・
あの瞬間、鬼神に魔力を汚染された時も俺の力だけではなんともならなかった」
クライヴは自ら手を差し伸べ、かつてヒルトやユリエフには見せたことがない優しい表情で話し続けた
「これからも、俺と共にいれほしい。
今後はただの同行者ではなく、心から信頼せきる友として。」
ヒルトとユリエフはお互い目を合わせ、満面の笑みで答えた
「よろしくな、クライヴ!
まっ、俺は前からずっと心から信用できる友だっていってたけどな!」
「私こそ、クライヴ君のことを旅の同行者と思ったことは一度もありませんよ
ですが、改めてというならこちらこそよろしくお願いします」
ヒルト、ユリエフはクライヴの手を取り合う
三人はこの時、二度と切れることのない強い絆で結ばれた
種族や能力、立場の枠を越え、夢を抱く同士として
ここに新たに希望が生まれた