第8章 監獄と闇の騎士
無理矢理鬼神を離し、水の中に浮かぶ首
クライヴは最後の力を振り絞り、闇の雷でその首を貫き、跡形もなく粉砕した
「っ・・はぁ・・はぁ・・!」
最後の力を振り絞り、確実に鬼神を消し去るクライヴ
だが、噛みつかれた傷口から違和感を感じる
ドクンッ
「?!」
首元を抑え、流れ出る己の魔力と同時に異物が侵入していることがわかった
『オレッチモ・・ウチガワカラ・・ツブス!』
「なっ?!」
クライヴの首元の傷から鬼神の怨念と邪悪な魔力が吹き出し
水の色は黒く染められ、息ができなくなり、視界は奪われる
「ぐっ・・!」
『呪う・・呪う・・ノロイころじでやるっ!!』
首元に噛みついた瞬間、鬼神はクライヴの魔力に己の呪いとわずかな魔力を付着させ、クライヴを直接汚染し、闇に堕とそうとしていた
絡み合う鬼神とクライヴの魔力は合い入れることはなく
クライヴには毒で侵されているほどの苦痛が襲う
「っ・・あああ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」
――――なんとかしなければ。
そう頭の中で必死に感がえる
だが、鬼神の呪いと闇が強く、意識が奪われかける
(ここで・・・意識をなくせば・・・すべてが水の泡だ・・・!)
力を振い起すが、鬼神の呪いを吐きだすことができず
息も続かないまま闇の中で溺れそうになっていく
震えながら手を伸ばし、クライヴは必死にもがく
(ダメだ・・ここで負けるわけにはいかないっ・・!
俺は・・・なんとしても生きて・・夢をっ・・!)
『ムダダ・・!
オレッチの最後の呪いのチカラは・・お前がどれほどあがこうと解禁デキナイっ!
そう、闇の神にツクラレテイルカラダ!
オマエの運命は・・キマッテイル!』
「黙れっ!」
クライヴは全身に浮かび上がる呪いの印をに目もくれず
鬼神の声さえも掻き消す程の大声で怒鳴る
「運命や・・呪いや・・そんなモノで俺は縛られないっ!
お前達がどれほど邪魔しようと、俺は進み続ける・・
なんど闇に堕ちようとも、俺を必要としてくれる友がいる限り・・俺はっ――――!」
闇の水の上から見えるかすかな光をつかみ取るように
今にも力尽きそうな手をまっすぐ上へ伸ばし、クライヴは話した
誰もつかめない曖昧な空間
クライヴの魔力と鬼神の精神が混ざった狭間の世界
現実世界の肉体には到底届かない場所