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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士




鬼神の精神の更に奥で眠っていた

その眠りは浅く、監獄に魂が送られるたびに目を覚ます


「ーーーーまた、闇に堕ちた魂が一つ」


蝶の羽を背中から生やした女性は湖の上で呟く

天から舞い降りてくるように堕ちてきた青白い火玉の魂

魂に女性が触れた瞬間、魂から走馬灯が走り
とある人間が魔族へ変わっていく一生が映像として流れ出す

一連の生涯を見終わった女性はため息をつき
己から発せられる蝶に魂を食わせ、空へ飛ばしていく


「この中にも・・あの子はいなかった」


白い頬から僅かに流れる涙を拭き取り
両手、両足から湖の水底まで繋がる透明な鎖を見つめ
悲しげな表情をした

「私は・・生きたかった
もっと生きて、沢山の事を知りたかった・・
人がどうやって生まれ、どんな選択をし、どんな終わりを迎えるのか。」

人差し指を空に上げ、また一つ、青白い火玉の魂を乗せる

「だから闇の神と取引をし、あの子に殺されるよう、演技をする代わりに
死後、永遠に求めていたものを得られる役割を与えられた。」


指に乗せられていた魂を
また蝶に食わせ、あしらうように空へ飛ばす

「でも実際は、自由のない世界で永遠に闇に堕ちた魂の記憶を観て、鬼神へ捧げる役目だけ。
こんなつまらないものの為に、私はあの子を裏切ったーーーー」


女性の足元の水は赤く染まっていき
水中には赤い蝶の死骸が埋め尽くされていく


「呪われた醜い私が・・まだ夢を見る事を許されるなら
もう一度あの子に会いたい
そして、あの子には幸せになってほしい」


膝をつき、両手で顔を隠す女性



「ーーー立てるか、ミレイア」


「!」


女性は己の名前を呼ばれた事で目を開け、見上げる

そこには湖の上で水面から僅かに浮き、手を差し伸べているクライヴがいた




「ク・・クライヴ?
どうして・・ここに?」

ミレイアは目を見開き、その手を取り、立ち上がる

「あんたを助けに来た
・・・って言えば泣き止んでくれるか?」
「?!」

ミレイアの涙をクライヴは拭き取り
優しく微笑んだ

その表情は全てを受け止め、強く成長し、ミレイアの知らないクライヴだった

「私を・・助けにって言うけど・・
それは鬼神を倒さないとできないことでしょ?
どうやってそんな事を?
・・いえ、そんな事をすれば貴方はまた闇に堕ちてしまうわ!」




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