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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



いる、といえばクライヴはミレイアの元へ駆けつけ、彼女を助けるためなら何でもするだろう

いない、と答えれば嘘を吐いたことでどんな結果が待っているか、明確だった

だが、クライヴを救う、という意味では嘘偽りを告げるべきだろう
実際、ミレイアの場所へ向かったところで
膨大な結界と呪いが彼女を縛り付け
クライヴの魔力では対応できないとアークは知っていた


「ここに、ミレイア様はおられません」
「・・・。」

迷いなく告げる嘘
その内容を聞いた瞬間
クライヴの目元から蝶を模した赤黒い刺青が浮き上がり
瞳を真っ赤に染め、アークを睨んだ
「クライヴ様、その刺青は・・!」

――――失念していた

何故気付かなかったのだろう

アークの脳内には後悔しか感じなかった

記憶を取り戻したクライヴにとって、大切なのは己の夢ではく、ミレイアを守る、ということに切り替わっていたのだ
それゆえ、過去に守れなった己への憎しみと
全て仕組まれ、呪われた出生に怒りを失くすことができず
目覚めることは、記憶を取り戻した故での必然

そして、負の感情や闇の力に赤い蝶は反応する

おそらく、この監獄へたどり着き、気が付かないうちにクライヴの体内には赤い蝶が忍び込んでいたのだ

それは赤鬼のワーグと交戦しようとした時から始まっていた

「アーク・・お前が嘘をついてくれて、よかった」
「え?」

「これで、心おきなく、お前の魔力を奪ってミレイアの元へ行けそうだ」

ゾッと寒気がアークの全身を襲った

クライヴの口からでた内容だけではない
赤い蝶に犯され、狂い始めたクライヴの目は赤いが、光は宿っていらず
目元にはクマができている
そして、その表情は不自然な程、穏やかだった


敵意も感じず、ただアークがわかったのは
クライヴを止めることはできず、すでに手遅れだった、ということだった

抵抗するべきではない
大人しく魔力を渡せばすむ話だ

だが、簡単に渡せない理由が一つだけあった
それは、こちらで向かってくるサルナス達が侵入者と言っていた者たちと共にいることが感じたからだ
戻るまでにクライヴを気絶でもさせ、混乱を招かないようにしなければと、判断したアークは大杖を構える
「申し訳ございませんが、魔力を簡単にお渡しはできません」
「・・・」
アークの言葉に、クライヴは返答することなく、不気味な笑みをうかばせた
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