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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士




クライヴの記憶がはっきりと蘇るのはここまでだった

闇に堕ち、異形の化け物と成り果て、どれほどの期間、襲ってくる天族と戦っただろう

光の魔法で攻撃した者は闇の雷で撃ち落とし
剣と盾で突撃した者達は炎で焼き尽くし
地上から応戦する土族のゴーレムは闇で浸食させ、使い魔として逆手にとった

風族、水族、土族、天族、そのほか眷属たちの結託によって一斉に攻撃を受ける
だが、痛みを感じたことはなかった

クライヴにとって、確実に覚えている最後の痛みは
ミレイアを闇の魔力で操られ、無意識に殺してしまった時の絶望だった






―――――――――


鬼の魂を完全に吸収しきったクライヴは、長い夢をみているような気分だった

目を開けた時、結界で守りながらこちらを見守っているアークと目が合った

「・・・アーク」

「はい、いかがなさいましたでしょうか」

「――――俺は、全てを破壊させるために、闇の神に生み出されたのだな」
「・・・。」
「鬼の魂を吸収し、力が少し戻り、同時に記憶も蘇った。
全てとは到底言えないが、暗黒戦争でお前たちを守れなかった光景は・・確かに見た。」
「守れなかったのは、我々です
闇の騎士として、あるまじ行為でした」

静かに答えるアーク
だが、クライヴは罪悪感が残るような表情をしていた

「・・ところで、この結界はなんだ?」
「嗚呼、失礼しました
敵の侵入があり、サルナスとラルザが迎撃をしに向かったので、念のため作った結界でした」

アークは指一つで結界を解き、軽くクライヴに頭を下げた

「侵入者の方はサルナス達に任せていいか?」
「勿論です
どこか、行かれるのですか?」

「ああ、ミレイアを探しに行く」
「?!」
「記憶の中で感じた彼女の魔力が、この世界でも感じる
あの赤い蝶といい、あの人もここにいるのだろ?」
「・・・・。」

クライヴの問いに、アークは答えることなく、黙っている
そんなアークに、クライヴは重圧的な声で再確認した
「黙るな。
・・もう一度きく、アーク
あの人はここにいるのだろ?」
「!」

今までに聞いたことのないクライヴの声
確実に脅迫でなく、殺意のある声
その内容は簡単に回答はできるが、ここでどう答えるかで
全てが左右されると、アークは必死に考えた
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