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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士



シャルゼはクライヴの傍らで腰を落とし、クライヴの頭に手を当て、撫でるように動かした

「愚かな息子よ
だが、お前はよくやったといえるな」

歪んだ親の愛情表現
息子が闇へ堕ちることで、初めて心から祝い
祝福したのだった

それでもクライヴはシャルゼの話など、上の空。
内容はほぼ理解せず、ただ動かないミレイアを虚ろな目で見つめていた

「・・ではクライヴ、後のことは任せよう
数分もすれば天族の本軍がここを襲い、お前を殺すために全力で挑みにくるだろう
だが・・――――――」
「!」

ミレイアの髪を持ち上げ、シャルゼは軽々しく放り投げた
そして飛ばされた直後、ミレイアは巨大な赤い蝶に丸のみされ
動かない足を最後にゆっくり蝶の中へ消えていった


「ああっ・・ああああ!!」

虚ろな目だったクライヴは憎しみと絶望へ包まれていく

「そうだ、もっと絶望しろ
お前の無力さ、愚かさが全ての元凶だ」

「やめろっ・・」

「耳を塞ぎ、目を閉じたところで何も変わらんぞ
それとも、あの女の体の一部を蝶から掃き出させ、もう一度眺めるか?」

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」




狂いながら叫びあげるクライヴ

瞳を光らせ、大鎌を取り出し、シャルゼへ襲い掛かろうとした

ドクンッ

「っ?!」

大鎌がシャルゼへ届く前に
心臓が弾けるほどの発作がクライヴを襲った

ドクンッ   ドクンッ


「あ゛あ゛あ゛っ・・・」

己の服を掴み、痛みのあまりその場で蹲るクライヴ

更に発作は加速してゆき、意識は闇の中へ消えかけていく

憎しみ、絶望、怒り、悲しみ、呪い

数多の負の感情が一斉に襲い掛かる


クライヴの意識が消えていくのと同時に、魔力は増加し
背中の骨や全身の内臓が異様な音をたてながら変形していくのがわかった

クライヴの感情と闇は暴走し
肉体は呼応するように異形な形で変わっていく


頭からは漆黒の翼と日本の角
瞳は真っ赤に光、犬歯は口が裂けるほど尖っていく
爪は尖り、背中からは巨大な10本の漆黒の翼が生える
血管は浮き上がり、唸る声は低く、闇の化け物と化していた

すでにクライヴとしての面影はなく、全身から吹き荒れる闇は嵐のように竜巻を巻きながら天高くまで渦巻く


シャルゼはクライヴが完全に闇に堕ちたことを確認し、不気味な笑みを浮かべ、姿を消した―――――

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