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IN DREAM2

第8章 監獄と闇の騎士




目を開けた時、クライヴは全身が暖かく感じた

それは人の体の温もり
全身に覆いかぶさているような、そんな感覚

(・・・あたたかい・・)

真っ暗な視界の中、クライヴは何をしていたのか
わからなくなった

痺れていた手先や脳の奥から感じていた痛みは消えており
手先から暖かいぬるま湯を掛け流しているようだった

(・・あれ・・
俺は・・一体・・・?)




「ク・・・ラ・・イ・・ヴ・・・」

(この声は・・)


「ミレ・・イア?」


耳元でささやく声は確かにミレイアのものであり、その声でクライヴは意識がはっきりとした

目の前にはミレイアがクライヴに抱き着くように接触しており、完全に身をゆだねるほど力を抜いていた

「え・・・?」

クライヴは不自然なミレイアの体勢と
その腹部から流れ、手元に伝わる温もりの正体を確かめる

それは、ミレイアの体からあふれ出る真っ赤な血だった――――――



「・・な」

絶句するクライヴはミレイアの腹部に突き刺さっている闇の剣と
それを握りしめている己の手を確認し、それでも目を疑った


最後の記憶は闇の剣を抑制しようと、痛みと戦っていた
だが、次に目を開けると、守るはずの女性を己の手で殺している
混乱と狂気と悲痛と絶望が一気にクライヴの心を満たした

「ど・・うして・・」


虫の息状態のミレイアはクライヴの耳元で小さくつぶやき
そのまま剣が貫通した状態で倒れていった

力なくして倒れたことで、傷口は横に広がり、骨と内臓がはみ出し、その場には血肉の異臭が広がる

「あ・・・・あああああ」

歪んでいくクライヴの表情は異臭によるものではなく
守るべき女性を己の手で殺めたことへの絶望



それを観ていたシャルゼは初めてクライヴへ拍手をした
かつてないほどの満足な笑みと高鳴る拍手

「よくやった、我が息子よ
お前ならその女を殺せると信じていた」
「は・・?」

膝から崩れ落ち、顔色を悪くしていくクライヴは
シャルゼの話を聞き、全身の力が無くなっていく

これも、仕組まれたことなのだと、気付いたのだ


「お前を完全な闇へ変えるには、多少の手間がかかるとは思っていたが、この女を守り、闇の騎士を造り出したいと申し出た時は驚かされたがな」
「・・・・」
「まさか、自ら進んで闇に堕ちる罠で飛び込むとは、な。」

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